5年前に、地方高官の息子との付き合いを拒んだことで「報復」を受け、重度のやけどを負った美女が、最近、その姿を自身のミニブログで公開した。その傷跡をさらしたことで、中国のネットではその勇気を称える声が相次いだ。
「官二代」狂暴さを知らしめた事件
事件は2011年9月、安徽省合肥市で起きた。中学生だった周岩さん(当時16歳)は、同級生の陶汝坤と付き合っていた。陶の両親はそれぞれ安徽省と合肥市の高官。やがて、陶の横暴さに周さんが交際を避けるようになると、陶は腹いせに、押しかけた周さんの自宅で彼女にライターのオイルを浴びせ、火をつけた。
周さんは一命をとりとめたものの、重傷を負った。顔面を中心に首や胸、腕や脚にわたって、全身の皮膚の3割をやけどした。左耳を失い、左手は一時まひした。
陶の両親の脅しや圧力により、陶が起訴されるのは事件から7カ月も経ってからのことだった。この事件により、親の権力にしがみつき、横暴にふるまう中国官僚の子「官二代」の異常性が、社会で大きな注目を浴びた。
傷跡を公開した周さん 「青春の記録」
周さんは最近、ミニブログ微博で、自身の近影を公開した。「私にとって、この写真は青春の記録です」とコメント。8月に、写真家の知人が撮影したものだという。
インターネットには、傷跡をあえて見せた周さんの勇気に感動し、支援するとの声が相次いだ。「彼女の傷を見ていません、ほかに比べられないほど美しい心を見ています」「あなたは最も美しい人だ」。
周さんは写真とともに、独自のポエムをつけた。4度の皮膚移植手術を受けての身体の違和感、そして将来の不安と同時にある強い希望について、つづっている。『私は知らない身体で、一人生きている。16歳のあの日から。まだ21歳の周岩を直視することはできない。オレンジジュースの雨を楽しみにしていた女の子だった。いつも声を出さず泣いている。…嘘、天気は晴れ、きっとみんなうまくいく。最高に強い子だけが、太陽の光を見る』。
写真の公開について22日、華商報のインタビューを受けた。陶について「恨んでいますか?」との問いに、「昔も今もその気持ちはありません。(陶を嫌っている)世間のように私はできません」とし、「多くを言いたくありませんが、受けるべき責任は必ず取らなければなりません」と述べた。
周さんは、事件があったことで、自分に対する愛情と自信を失いたくないという。大学に入学することもあきらめていない。また、「美しい新婦になれなくても、そうなれるよう努力したい」と結婚願望を語った。
裁判では勝訴 12年の有期刑と180万元の賠償金支払い
合肥市包河区人民法院(裁判所)は2012年、陶に対して故意傷害罪で12年1カ月の有期刑を下した。2015年、民事裁判では172万元(約3000万円以上)の賠償金の支払いが命じられた。陶と両親は「周はただちに治療が必要な状態ではない」と上訴した。
そして今年8月、最高裁は、被告の上訴を認めず、現在もリハビリに通う被害者の医療費と身体・精神の障害を与えたことに対する賠償として、陶に180万元の支払いを命じた。
(翻訳編集・佐渡 道世)
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