中国体育総局は、数年前から五輪代表のような国を代表するスポーツ選手のために、政府高官にしか提供してこなかった特別食「特供」を与えられていると明かした。中国の庶民が口にすることのできない高級食材を使ったもので、1食分は数万円にもなる。食の安全が確保できない、中国ならではのスポーツ選手の健康管理法といえる。8日に網易(NetEase)が伝えた。
高官以外へ「特供」 スポーツ選手の食の安全を保障
メラニン汚染の粉ミルク、カドミウム米、下水溝から引き出した地溝油、段ボール入り肉まん、人工卵、紙の湯葉、毒もやしー。中国の食の問題例には、枚挙にいとまがない。2011年に筋肉増強剤「痩肉精(クレンブテロール)」を使用した豚肉の流通が発覚。これを食べると、ドーピング検査で陽性が出ることから、スポーツ選手は外食を制限された。
オリンピックなど国を代表するスポーツ選手の食の安全を保障するために、中国スポーツ総局は、数年前から選手には「特供」が与えられていると公表した。
「特供」とは、安全な自然環境、生産条件が保たれた政府の管理農場で生産された食べ物。中国共産党高官だけがもつ特権で、本来は毒殺をふせぐためのシステムとされている。
一杯1万5千円のスープ
伝えられるところによると、代表チームの食事はバラエティ豊かで、20種の肉料理、6種の野菜料理、3種のスープと6種以上の果物が提供されている。特にスープは重要とされ、すっぽん、黒ニワトリ、フカヒレ、アワビ、漢方など高価な食材が使われる。スープ一杯には2000元(約1.5万円)以上の価値があるという。
合宿の場合、現地の食材を使わずに、体育総局関係者が添加物や残留農薬量を厳しくチェックした「特供」食材が空輸される。運搬担当の関係者は同紙に中国食の苦労を漏らしている。海外でトレーニングした選手から「あちらではオーガニック食材が簡単に手に入り、洗わなくても食べられる」と聞いていたからだ。
合宿中、ハードなトレーニングを重ねる選手たちに、「特供」食材だけでは足りない。マラソンの代表チームらは自ら、安全な食材を手にするためにニワトリを練習場近くで育てたり、養殖ではない天然の魚を探し、何キロも離れた放牧農場で良い牛肉を調達したりして、チームが独自に食事をまかなっていた。
同記事は最後に、厳しく国の食の安全管理を非難した。「中国は食の安全が取りざたされるなか、オリンピックを迎えた。政府は恥ずかしげもなく『特供』の存在を明かし、スポーツ選手たちは喜んで受け入れた。しかし、中国が、欧州基準ほどの食の安全を守ることができれば、もっと中国のスポーツ選手は強くなるのでは? ただ『特供』に頼るのを、いつまで続けるというのか」。
(翻訳編集・佐渡 道世)
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