中国上海市で開催された20カ国・地域(G20)貿易相会合は7月10日、共同声明を採択して閉幕した。声明では、中国の過剰生産問題を念頭に、「鉄鋼などの生産能力過剰で世界貿易だけでなく、労働者にもダメージを与えた」とし、今後は協力して対応すると示された。
ロイターによると、同会合で米国、日本、ドイツ、メキシコなどの貿易相または政府関係者が、中国の過剰生産問題の深刻さを指摘。各国の代表は、中国国内で消化できない膨大な鉄鋼在庫を国際市場に安価で輸出したことで、各国の鉄鋼生産企業の多くが倒産したと、相次いで中国を非難した。また中国に対して、過剰生産の解決に有効な措置を採るよう求めた。
しかし、議長国である中国側はG20貿易相会合で「この問題を議論すべきではない」「中国は、一部の過激にアンチ・ダンピング措置を実施する国政府の被害者だ」と反論した。
同会合に参加した南アフリカのロブ・デービス貿易産業相はロイターに対して、会合では各国が鉄鋼生産過剰の具体的な解決策や貿易保護などの問題で意見が一致しなかったと述べた。
現在中国では、鉄鋼業のほか、石炭業、造船、セメントなどの業界における過剰生産問題が深刻化している。業界の過剰生産を削減するには、大規模な労働者の解雇、企業倒産といった改革をしなければならないが、その影響で企業に融資する銀行が債務不履行の急増で、中国銀行業にも壊滅的打撃を与えると予測される。失業人口の急増、金融危機で、すでに多くの社会問題を抱える中国にとって社会不安が爆発的に広がっていくとみられる。
(翻訳編集・張哲)
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