四川大地震から8年 義援金500億元(8400億円)が使途不明

2016/06/01
更新: 2016/06/01

2008年5月12日、中国の四川省で起きた大規模な地震「四川大地震」から8年が経過した。集まった義援金の使途に関してはこれまでも各界から注目が集まっていたが、ずさんな政府発表に業を煮やしたネットユーザーの間で、このことが再度話題の焦点となっている。

中国民生部の資料によると、地震発生後の半年間で中国全土から被災地にあてて約652億元(約1兆970億円)の義援金が集まったほか、約110億元(約1850億円)分に相当する支援物資が届けられた。しかしメディアが発表したデータに基づくと、これ迄に使用された義援金はわずか151億元(約2540億円)にとどまり、全体の23%に過ぎないことが明らかになった。残りの501億元(約8430億円)は一体どこに消えてしまったのかは、依然として不明のままだ。

精華大学の研究報告による義援金の流れ

中国メディアの報道によると、北京の清華大学による研究報告「四川大地震における義援金の流れ」によって、2008年11月までに中国国内から集まった義援金総額は652億5000万元(約1兆980億円)に達したことが明らかにされている。そのうち約58%にあたる379億元(約6380億円)が政府に直接届けられ、約31%にあたる199億元(約3350億円)が各地の赤十字会や慈善団体、地方公共団体を通じたもので、残りの11%が中国赤十字総会、中華慈善総会及び全国16カ所に設けられた地方募金会に届けられたとされている。

公開システムは未だ実現されていない

2008年12月、民政部の担当者が中国中央テレビ(CCTV)の番組に出演し、民政部は目下義援金情報に関するサイトを作成中であり、さらに情報センターを組織して、義援金の使い道を公開すると発表していた。しかし、その後このサイトが完成したという話は報じられていない。

報道によると、政府が受け取った義援金のうち、四川省政府が受領した総額だけでも201億9500万元(約3400億円)に達していたという。だが、四川省政府はその半分以下にあたる95億8300万元(約1610億円)の使い道しか公表しておらず、2011年2月以降、四川省政府による義援金の使途に関する情報は、公開資料のどこにも見当たらない。

中国赤十字総会が2011年5月に発表したデータによると、同年2月28日までに全国赤十字が受け取った被災地への義援金と物資の総額は199億元(約3350億円)に相当している。だが中国赤十字会側は義援金の使途についてなんら情報を公開しておらず、閲覧が可能な公開資料は、2011年5月に発表された監査報告書以外には存在しない。

こうしたことから、多くのネットユーザーから、政府機関や団体は一部の大まかな情報を出してうやむやにするのではなく、全ての義援金の使途について公開し、あらゆる情報を白日の下にさらすべきだとの声が上がっている。この8年間、民衆は一通の使途明細すら目にしていない。義援金が適切に使われていると分かれば、人々は安心して寄付することができるというのに。

(翻訳編集・桜井信一/単馨)