中国交通運輸部の公式ウェブサイトは5月11日、国家発展改革委員会(発改委)と交通運輸部が合同で制定した『交通インフラ設備重要プロジェクト建設3年間行動計画』を公表した。2016年~18年まで鉄道や空港、道路、都市部地下鉄など重点に実施するプロジェクトは303項目にのぼり、総投資金額が4兆7000億元(約78兆4900億円)。
国内経済金融情報サイト「鳳凰財経」によると、同計画では今年に実施予定の建設プロジェクトが131項目で投資額が2.1兆元。17年と18年はそれぞれ92項目と80項目を実施する予定で、投資額がそれぞれ1.3兆元。
同計画内容をみると、国内総生産(GDP)増長率目標を保障するためこれまで実施してきた刺激策とほぼ同じ物だ。一部の専門家は過去と同様な刺激計画を実施すれば、過熱化した不動産市場や過剰生産能力、債務急増などなどの問題が一層深刻化になるのを懸念する。
香港紙「星島日報」(14日付)によると、米金融大手ゴールドマンサックスは中国当局が発表した新刺激計画について困惑しているという。ゴールドマンサックスは中国経済の高度成長期では、インフラ整備などの公共事業投資は経済発展に大きな役割を果たせるが、しかし近年では経済の歪み、過剰生産能力や企業の債務急増など様々な問題をもたらしたと指摘。2008年に実施した4兆元規模刺激策の結果、鋼鉄業界や石炭業界などが過剰生産となり、不動産市場がバブル化した。中国当局はいまだにその解決案の摸索に頭を抱えている。
その一方で、新景気刺激計画は習近平国家主席が主張した「供給側改革」の一環だとの見方がある。「星島日報」は、大規模な鉄道、道路、空港の建設によって鋼鉄やセメントへの需要を拡大させると同時に、当局が赤字体質の「ゾンビ企業」を倒産させることが可能であれば、消費と生産の両面で過剰生産を解決でき、供給側改革の過剰生産能力削減との目標も達成られるとの見解を示した。
国内の報道によると、5月11日に開催された週1回の国務院常務会議ではこの4.7兆元規模刺激計画が言及されなかったため、同刺激措置が直ちに実行される可能性が低いとみられる。
(翻訳編集・張哲)
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