中国、各地で相次ぐ大規模デモ

2016/01/21
更新: 2016/01/21

1月初めから中旬まで、中国各地で数万人を超える大規模な抗議デモが相次いでいる。トラック運転手の新制度抗議やタクシードライバーのストライキ、土地を失った農民の保障要求など、訴えの内容はさまざまだが、警察は多くのケースで暴力をともなう強制解散や逮捕を行った。

 江西省南昌市で1000人のトラック運転手が抗議デモ

江西省南昌市市政府による、同市の多くの区域で旧型の廃棄物輸送トラックの使用を禁止するとの新たな規定に対して、今月4日から約千人のトラック運転手が抗議デモを行った。

今月8日、警察は抗議デモを鎮圧し70人以上のトラック運転手を逮捕。翌日には、逮捕された運転手の家族らが運転手を釈放するよう当局に要求する抗議デモが起きた。

トラック運転手によると、南昌市には約4000台の旧型廃棄物輸送トラックが運行していて、運転手は2015年末に突然、規定の変更を聞かされたという。

政府が禁止する区域のほとんどが市の重要工事現場であり、90%の廃棄物輸送トラックが市内で運送を行っている。そのため、新規定によって、数千人の運転手が失業するとみられている。

 投資被害者の数千人が北京当局に陳情

直訴を受けつける国家信訪局、
大勢の警官が現場を封鎖(ネット写真)

今月10日、中国のネット投資会社「e租宝」の投資被害者数千人が、市民の「直訴」を受けつける北京の国家信訪局に集まり、集団陳情した。当局は大勢の警察官を現場に派遣し、陳情者を解散させたり、隔離したりして、数百人の陳情者を逮捕した。

陳情者の一人である季さんによると、警察は信訪局の周囲を警戒線で囲み、陳情者の出入りを制限し、信訪局付近の通行人に対して、身分証のチェックを行ったという。

全国各地の「e租宝」の投資被害者の主張によると、もともと十万人規模の集団陳情を呼びかけたが、各地警察の厳しい監視と阻止により、陳情者の多くは北京に向かうことはできなかった。

 広西省河池市 数万人の農民による抗議デモ

広西省河池市の村で数万人の農民による抗議デモ(ネット写真)
 

今月11日、広西省河池市の村で数万人の農民による抗議デモが行われた。デモは、土地を徴収された農民に毎月支給されていた生活保障金が取り消されたことに起因する。道路を埋め尽くす数万人の農民による大規模な抗議活動となった。

警察は数人の村人を殴打、逮捕したが、その後大勢の村人が警察署へ押しかけ、村人は釈放された。

去年の12月末に、河池市の13の村で、政府が土地を徴収した際に約束した毎月の最低生活保障金を突然、支給停止と発表した。多くの村人の生活がこの保証金に支えられている。

 

 数万人のタクシードライバーがストライキ

ストライキ中の江西省南昌市の
タクシードライバー(目撃者の微博より)

今月11日から13日にかけて、広東省東莞市、江西省南昌市、江蘇省南京市の数万人のタクシードライバーが、大規模なストライキを起こし、車両レンタル料の値下げ、保険料の免除、タクシー業界の独占禁止を求めた。

広東省東莞市では、デモに参加した多くのタクシードライバーが警察から殴打され、11人が逮捕された。江蘇省南京市では、タクシーが政府専用車に衝突し、デモ参加者が政府専用車をひっくり返す騒動が起きた。警察は数人のタクシードライバーを逮捕した。

江蘇省の学校で有毒物質 学生に健康被害

江蘇省常州市の外国語学校の学生と保護者が
学生らの体調異変で学校移転を訴え、
市政府で集会(ネット写真)

今月15日、江蘇省常州市の外国語学校の学生と保護者が市政府で集会を行い、多くの人が警察から殴打され、数人が逮捕された。

去年12月から、この学校の学生と教師が、目まい、嘔吐、咳、鼻血、湿疹などの症状を相次ぎ訴えた。一人の学生はリンパ癌と診断された。学校付近の土地から漂う悪臭が原因ではないかとみられている。

悪臭は、学校付近にある元農薬工場の跡地からのものであり、保護者は政府に対して学校を移転するよう強く求めている。

(翻訳編集・山本アキ)