2016年最初の2週間で中国株式市場と同様、中国当局の介入で人民元為替市場が大きな波乱に見舞われた。1月4日~8日の間、中国人民銀行(中央銀行)は人民元の対ドル為替基準値を連日ドル高元安に設定した。これにより、この1週間で元は対ドルで約1.5%下落した。今後一段の元安との観測から、上海のオンショア市場と比べて、比較的に元を自由売買できる香港のオフショア市場で元の売り注文が集中し、対ドルで元がより速いペースで下落した。両市場の元の為替差が約1600ベーシスポイントに達し、4年半ぶりの大きさとなった。
人民銀行はオフショア市場での元の急落を阻止するため、1月8日、11日と12日に香港市場で中国国有銀行を通じて、ドル売り元買いの市場介入を行ったとみらる。この結果、オンショア市場とオフショア市場での元の為替差は縮小したが、香港金融市場に大きな混乱を与えた。
人民元への急激な需要で流動性がひっ迫し、香港インターバンク市場の貸出金利(Hibor)が急騰した。翌日物Hiborは8日の4.01%から11日の13.4%に、12日には史上最高水準の66.81%に急上昇。12日の1週間物Hiborと2週間物Hiborはそれぞれ33.79%と28.34%に上昇した。
インターバンク市場の流動性がひっ迫することは、銀行が深刻な資金不足に陥り、運転資金を必要とする企業だけではなく、結果的に株式市場、為替市場と債券市場といった金融市場全体にリスクをもたらす。
市場関係者は中国当局の為替市場への介入とコントロールは実質的に為替市場と株式市場により大きな混乱をもたらすしかないと指摘する。1月13日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、香港市場関係者は人民銀行の介入によりHiborが急騰したことで「市場の流動性はほぼ枯渇した」と指摘した。
市場流動性のひっ迫と中国株式市場の急落で、12日の香港株式市場主要株価指数のハンセン指数は2012年9月以来の低水準まで下落した。
中国当局は人民元改革を幾度も国内外に約束してきた。しかし、人為的に元の為替レートを操作し続け、香港市場にまで介入したことに真の改革意欲があるかが疑わしい。
1月7日付米投資情報誌「バロンズ」は「投資家は中国当局による元の為替レートと株式市場への過剰な介入を停止し、市場の実情を反映するよう自由変動を認めることを望んでいる」と評論した。
これまでの状況をみると、中国当局が為替政策、または株式市場に対して何らかの行動を起こすたびに世界市場まで巻き込む混乱をもたらしている。多くの専門家や海外メディアが警告したように、中国経済への懸念よりも身勝手な中国政府への懸念の方がむしろ最大の投資リスクだ。
(翻訳編集・張哲)