世界最大のシンクタンク、経済協力開発機構(OECD)が10月末に発表した報告書によると、今年上半期で、他国による米国への直接投資額が過去最高の2000億ドル(約24.5兆円)に達した。外国企業による米国企業の事業買収が急増していることが要因の一つだという。
報告書によると、860億ドル(約10.5兆円)は化学企業、800億ドル(約9.8兆円)は製造企業である。
米国の法人税率は約35%で、日本と並んで先進国のなかで最も高い。多くの米企業が外国企業と合併後、節税対策として本社をより税率の低い相手国へ移転する。
報告書は、2014年に米医療機器大手メドトロニックが480億(約5.9兆円)ドルで、アイルランドのヘルスケア製品大手コヴィディエンを買収した事例を編入した。合併後、本社は法人税率は約米国の3分の1であるアイルランドに移転した。
米製薬大手ファイザーがこのほど、アイルランドの同業アラガンとの総額1600億ドル(19.6兆円)規模となる合併を発表した。これにより、ファイザーは本社をニューヨークからアイルランドへ移す計画だ。年間の税負担が数十億ドル軽減されるとみられる。
(翻訳・桜井信一、編集・叶子)