中国では臓器をめぐる事件が再び取り上げられている。中国メディアはこのほど、河南省在住の女性の腎臓が手術後に消えていたという出来事を報じた。その女性は過去に直腸瘤の手術を受けており、後になって右の腎臓が無くなっていることが分かったという。裁判所は施術した病院に対し、その女性に障害を負わせたとして賠償金の支払いを命じたが、腎臓のことには触れていない。片方の腎臓が一体どこに消えてしまったのかは、依然として謎に包まれている。
地元河南電視台の最近の報道などによると、その女性は2006年河南省の項城市第一人民医院で直腸瘤の切除手術を受け、その後、背中の痛みと排尿障害を感じるようになり、容体は日増しに悪化した。2年後に別の病院で検査を受けた結果、右の腎臓がなくなっていることが分かった。女性の手元にある過去の治療記録には、腎臓が2つ揃っていたことがはっきりと記されている。今年7月、項城市裁判所は被告人である項城市第一人民医院に対し、女性に障害を負わせたとして身体障害賠償金等、合計41万元(約776万円)の支払いを命じたが、腎臓の行方については一切言及していない。真相は闇に葬られたままだ。
ここ数年、中国ではホームレスの遺体に臓器が抜き取られた痕跡がみつかったり、遺体となって発見された行方不明者の臓器が盗られているといった事例、また今回同様、術後に片側の腎臓が消えたという事例など、臓器がらみの事件が相次ぎ伝えられている。
今回の報道を受け、中国のインターネット上ではこの事件への関心が高まっている。「無責任な裁判官によるでたらめな判決」「事件の裏が深すぎる」などのコメントが相次ぎ寄せられた。
ニューヨーク在住の著名中国人作家の胡平氏は、米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)の放送で、この件について、摘出された臓器は短時間に移植する必要があることから、今回の「腎臓紛失事件」は計画的であり、背後には犯罪組織が存在している可能性が高いと指摘している。
胡氏は「以前から、法輪功(中国伝統気功、国内で禁止)が、中国では、法輪功愛好者に対する大規模な臓器収奪が、刑務所などの収容施設で行われていると訴えているが、あまりにも恐ろしいことであり、自分はその信憑性を疑っていた。しかしこうした事件などからみると、この恐ろしい訴えが事実である可能性が高くなった」と述べた。
(翻訳・桜井信一、編集・叶子)
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