香港の繁華街で、中国本土からのツアー観光客が買い物を強要されるトラブルが起き、巻き込まれた男性(54)が死亡した。香港警察は、それぞれ香港と中国本土のツアーガイドを含む4人を逮捕した。
地元メディアによると19日、ホンハム地区の宝飾店を訪れた本土からのツアー観光客が、買い物を拒否したことで、ガイドと口論になった。死亡した男性は仲裁に入り、ガイドら数人の男から店外で暴行を受けたという。
中国本土発のツアーでは、しばしば、旅行企画会社が運営あるいは提携する小売店へ行くようスケジュールが組まれている。ガイドは、売上金の数割を受け取るしくみがある。
香港警察は、逮捕された4人とは別に事件に関係した2 人の男の行方を追っている。立法会旅行業界の姚思栄議員は、警察に対し、迅速な捜査を望み、「早く旅行客の不安を解かなければ、香港観光へのイメージに影響しかねない」と述べている。
本土観光客をいざなう「本土」旅行会社
伝えられているところによると、事件が起きたツアーを企画した旅行会社は、形式上、香港の会社と銘打っているが、実際は本土出身の中国人が運営しているという。ガイドの他に、旅行会社側の「裏のメンバー」がいて、旅行客に買い物を強要し、拒めば、脅しや暴力を加えることもある。
前出の姚思栄議員は、旅行会社とガイドに対し、香港の法律を遵守し、責任を持って「裏のメンバー」の違法行為を阻止するよう呼びかけている。
香港観光業界とガイド労働組合の責任者・王宇氏によると、「裏のメンバー」は買い物の強制をするだけでなく、政治的任務も担っていると考えられている。例えば、旅行客に対し、中国本土で非合法指定されている気功法・法輪功の資料を、観光客が受け取ることを阻止するなど。
今回の事件について、中国本土メディアは「香港の旅行会社が、本土の旅行客に被害を加えた」と報じている。香港社会に反感を抱かせるのが狙いと見られている。
(翻訳編集・山本アキ)
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