中国の最新トレンドは「頭から草を生やすこと」。若い男女を中心に、ひょろりと伸びたプラスチック製の草のアクセサリーを、頭頂部につけるのが流行っている。日本から伝わった、可愛らしさを表す「萌え」文化とされている。しかし、中国伝統文化では「死者」「身売り」「祖先を粗末にすること」を意味し、先哲たちは眉をひそめているだろう。
可愛くて無邪気、愛されるキャラクター「萌えキャラ」の頭から生えていた草を、ある雑貨店が商品化した。一部には「恋人はいない」などの意味もあるようだ。ネットでは0.3元~3元程度で販売されている。中国の人気スターである権志竜、張芸興、李小鵬らも所持していることが分かると、草の人気はいっきに「萌え」広がった。
中国伝統文化で、草が頭から生えるとは「死者」を意味する。亡くなった人の身体は放置されると草が生える。つまり、若者は流行の飾りで「ゾンビ」を体現している。また、水滸伝など古典にもあるように、草を添えたものは「身売り」を意味する。ほかにも、頭は墓の建つ丘に例えられ、「雑草が生えるほど墓の手入れを怠った」とも受け取られる。
ニュースサイト・澎湃(ペンパイ)新聞は、共産党が定めた10月1日の建国記念日に合わせて、祝日に相応しい「頭に生やすもの」は「国旗」だと伝えた。連休には、ミニチュアの五星紅旗を頭に付ける人が見られた。
同じ日、香港で開かれた民主化パレードでは、「国慶節」と言わず、共産党が政権を強奪した「国が亡くなった日」と呼んだ。中国で著名な人権弁護士で、十数年も中国当局から迫害を受ける高智晟氏は最近、AP通信の取材に答え、「2017年に共産党政権は終わる」と予言している。
ゾンビの頭にはためく国旗。たんなる流行か。それとも中国の未来を示す予兆か。
(文・佐渡 道世)
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