中国が、大量の個人情報や経済的機密資料を入手するため、米国にサイバー攻撃を繰り返している問題について、米インターネット・セキュリティの専門家は「盗んだ米国の情報を吸収する能力は中国にない」と述べた。一方、ネットでは、この専門家の見方を誤りだとする意見が多数を占め、「中共の代弁者だ」などと激しく非難した。
サイバー攻撃に関する問題は、22日~28日に訪米する中国習近平国家主席と、米オバマ大統領との会談の主要議題の1つとされている。
米政府系ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は12日、米シンクタンク「イーストウエストセンター」研究員のグレッグ・オースティン氏の寄稿文を掲載した。同氏は、複数の専門家の分析をもとに、中国がアメリカの経済情報を大量に盗んだことは「事実」だとするものの、中国には、米国の情報を経済的利益に変える能力はないと推測している。
オースティン氏によると、莫大な情報を分析して消化するには、非常に複雑な作業工程を要する。例えば、東芝の子会社で米国の原子炉メーカー「ウエスチングハウス(Westinghouse)」のすべての情報を盗んでも、同じものを中国は作る能力はない。一方で、盗んだ情報は「5年、10年後に経済的価値に変えるだろう」とも加えた。
グレッグ氏は35年以上中国研究を続けている。最新著書『中国のインターネット政策(原題:Cyber Policy in China)』(2014年)を含め、これまでに6冊の中国のアジア安全保障に関する書籍を出している。
反論するネットユーザ 「中共の代弁者」
この度明かされたグレッグ氏の見方は、ネットで議論を引き起こした。多くのユーザは、同氏の分析に懐疑的で、中国の情報窃盗被害を重く見ている。
匿名「グレッグ氏は中国にはこれらの情報を消化する能力がないと断言したが、J-20戦闘機は良い(盗作)例ではないか? これはアメリカの損失ではないかと言いたい」
匿名「米国の専門家が米国の利益を売ろうとしている。中国共産党の代弁者だ」
John.D「トルーマン政権時の米国には、中国政府から金を受け取って、ロビー活動をする専門家と政治家が少なくなかった。結局、米国は毛沢東を支持し、蒋介石を負かした。このことを深く反省し、教訓を得なければならない」
匿名「おかしな話だ。他人のものを盗んだ泥棒は態度も変えない。盗まれた人は泥棒と握手して、非難さえしないのか。多くのアメリカ人は中国に買収されている」
オバマ大統領は16日、米国の大企業経営陣との会合の場で、中国に対して「複数の措置」を準備していることを明かした。また11日にメリーランド州で開かれた米軍基地の交流イベントでも「サイバー攻撃を米国の安全保障状の脅威とみなすことを攻撃国に理解させる必要がある」と述べ、何らかの措置を取ることをほのめかしていた。
(翻訳/張楊・編集/佐渡道世)
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