【大紀元日本5月21日】2012年2月に起きた中国重慶市元公安局長・王立軍の米総領事館亡命未遂事件。当時のゲイリー・フェイ・ロック(中国名・駱家輝)米駐中国大使(65)はこのほど、海外の中国語メディアの取材で、王の亡命要求が受け入れられなかった理由などを語った。
在米中国語メディア「世界日報」は18日付の報道で伝えた。
もっとも関心の高い問題「王は米総領事館に機密情報を渡したのか」について、ロック元大使は「自分にはこのことを議論、明かす権利がない」とした上、王とはこの方面のコミュニケーションをとったと述べ、詳細には触れなかった。
亡命を求める王の身柄を中国最高指導部に引き渡した理由について、ロック元大使は2つの事情を挙げた。※政府高官が米国亡命を望むなら、他国の米国在外公館に逃げ込むべき。自国から本人を安全に連れ出す保障がないからだ ※王立軍が執行した政策や、国民に対する扱い方から、政治的保護の対象になりうるか、意見が大きく分かれた。
元大使の話では、王の総領事館入りから48時間以内に米政府や他の同盟国(英国)などと緊急協議を交わした。その結果、王の身の安全が確保される前提で、本人の意向で米総領事館から出した。
一方、大紀元本部が入手した情報などによれば、当時の重慶市トップ薄熙来の元腹心だった王は薄と仲間割れになったため、殺されるのを恐れて亡命を決行した。その際、米国側に、薄と周永康らの政変計画、一行による法輪功学習者への組織ぐるみの臓器収奪などの証拠を渡した。
王立軍事件が引き金となり、後に薄は失脚し職権乱用などの罪で無期懲役の判決を受け、江沢民派の重鎮で最高指導部元メンバーの周被告は国家機密漏洩の罪などで起訴され、習近平サイドと江沢民派の政治闘争が表面化した。
王自身は2012年9月、職権乱用などの罪で懲役15年の判決を受けた。