【大紀元日本5月8日】反腐敗運動を進めている中国で、上海市政府は1日、市級高官の配偶者・家族の企業経営を禁止、制限する新規定(試行案)を公表した。習近平政権の反腐敗運動に抵抗する上海市政府が一転して協力姿勢を表明したという見解が中国問題専門家から上がり、「同市政治・経済業界で強い権力を握る江沢民一族が大打撃を受ける」という見方も多い。
同規定は、上海市級高官の配偶者について「無条件に企業経営を禁止」、子女とその配偶者について「上海市で企業を経営してはならない」と定めている。
香港科技大学社会学部の丁学良教授はBBCの取材で次のように分析した。
「上海市は元最高指導者江沢民氏と元国家副主席・曽慶紅氏の本拠地であることは周知されている(中略)。腐敗が根深い同市がこの規定を打ち出したのは、重要な姿勢表明になる。すなわち、習政権の反腐敗政策に従うと示した」
江沢民氏の長男江綿恒氏(63)は上海で政治・経済利益の巨大ネットワークをもっている。今年1月、国の最高研究機関「中国科学院」上海分院の副院長を年齢の理由で退任、いまは上海市政府傘下の上海科技大学の学長である江綿恒氏。新規定により、その息子の江志成氏(29)は上海で事業展開できない可能性が高い。
江志成氏は2010年に香港で投資会社・博裕資本有限公司(Boyu Capital)を設立、わずか1年半の間で、電子商取引会社アリババなど中国大手2社の新規株式公開(IPO)に関わり莫大な利益を上げたことで有名で、当初から、「祖父(江沢民氏)の政治権力のおかげ」と言われている。
北京在住の中国問題専門家・華頗氏は大紀元本部の電話取材で「この規定は江派上海閥の利益を根底から揺るがした」と指摘した。
メディアの江派一族への逆風も強まっている。地元上海のニュースサイト「澎湃新聞」は新規定発表の関連報道で、市の代表的建築物と江沢民氏のトレードマークである大きな黒縁メガネを合成した写真を掲載、ユーザーから「絶妙なメッセージだ」と拍手喝彩が湧いた。
新規定は、今年2月下旬、習近平氏が中央会議で提案したもので、「上海で着実に実施し、今後は他の地区にも広める」と指示したと伝えられた。
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