【大紀元日本3月11日】中国で政府高官の座に就くことは、権力と同時に巨万の富を手にしたことを意味する。最近発表された中国の億万長者ランキングによると、1271人中203人が政府関係者であることが分かった。中国では政治家は資産を公開しないため、ランクインしない「隠れ富豪」の存在も指摘されている。
上海を拠点とする中国富裕層向け企画業社・胡潤百富が2月に発表した世界長者ランキングによると、名を連ねた203人は全国人民代表大会(全人代)代表106人と、国政助言機関である全国政治協商会議(政協)委員の97人だ。
この203人の総資産は4638億ドル(約56兆円)。この額にはオバマ大統領含む米政府議員と最高裁判所裁判長9人の資産を合わせても達せず、オーストリアの年間経済生産高を上回る。
「チェックアンドバランス(注:権力組織が相互の抑制と均衡により政治権力の専制を防ぐこと)の欠如は、資本主義国では想像できないほどのスケールの『政治とカネ』問題を招く」と、英国ノッティンガム大学スティーブ・ツァン現代中国学教授は米ニューヨーク・タイムスの取材に電子メールで答えた。
私有資産を否定し、階級闘争を掲げて誕生した共産党だが、10年程前から、権限強化のために富裕層の党加入を歓迎し始めた。ツァン教授は「中国共産党は今日、権力を握り続けるためにあらゆる手を尽くしている」と付け加えた。
両会(全人代と政協)の代表や委員になることは、腐敗官僚含む上級高官と接触し、権力者と手を結ぶ機会を得ることになる。そのため商業相手や敵に向けたメッセージになる。中国では、企業は仲介取引や資産保護、宣伝などあらゆる事業に政治的権力を必要とする。
米カリフォルニア大学で中国金融政治を研究するビクター・シー教授によると、両会の席は商売人にとって「合法的な」保護を得られる存在であり、ビジネスに長けた者はこの影響力を上手く利用しているという。
胡潤百富の中国ランキングは、上場企業の年次報告書など一般公開された資料を元に作成された。そのため、個人所有資産を公開していない多くの政治家も億万長者である可能性もある。資産隠ぺいの方法として、所有者が明かされない不動産を多数持つことなどが上げられる。
同世界ランキングには、68カ国2089人が億万長者として名前があがった。そのうち米国537人、中国430人と、2カ国が約半数を占めた。3位にはインドが続いた。
億万長者が住む世界の都市にはニューヨークがその中心地として一位にあがり、中華圏では香港、北京、深セン、台北、上海の5都市がトップ10位に上った。
3日に米誌フォーブスが発表した2015年長者番付によると、中国の1位は不動産大手ワンダ・グループ会長の王健林氏、2位は電子商取引企業アリババ会長、ジャック・マー(馬雲)氏。
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