オバマ米大統領、中国テロ対策法案を批判 見直し求める

2015/03/04
更新: 2015/03/04

【大紀元日本3月4日】中国のテロ対策法案に対し、オバマ大統領が痛烈に批判した。同法案にはIT企業の暗号情報を中国当局に提出することを義務付けるとしているためだ。2月末に米国政府の高官数人が、中国金融情報の安全新規定に抗議したことに続き、米中対立が表面化している。

2月下旬に公表された中国のテロ対策法案の第1次修正案は、国内外のIT企業に対し、コンピューター内の電子情報の漏えいを防止するための暗号化方式を治安当局に開示することや、ユーザーを監視するためのバックドアの設置などを義務付けた。これについてオバマ米大統領は2日、ロイター通信の単独インタビューで同法案を批判し「中国が米国とビジネスをしていくには、内容を修正しなければならない」と述べた。

オバマ大統領は「法案の実施により、中国当局はすべてのユーザーを監視、追跡できるようになる」「前向きに協力する欧米企業はいないだろう」と懸念を示した。さらに、長期的には中国経済に悪影響をもたらす可能性を指摘した。オバマ大統領は習近平・中国国家主席に内容の見直しを求めたことをも明らかにした。

中国は早くも反応を示した。外交部の華春瑩報道官は3日の定例記者会見で、オバマ大統領の発言に対し「(法案は)国内外の情勢に基づいたテロ対策であり、中国の内政である」と反論した。

一方、中国政府はこれまでに「反テロ」との口実でウイグルやチベットなどの少数民族や民主活動家、政権異見者を迫害してきた。同法案の実施により、人権弾圧がさらに深刻になることも憂慮されている。

企業の知的財産権で極秘情報にあたる最先端技術を中国当局に公開することで、機密情報は中国企業に横流しとなり、外国企業が競争で劣勢に転じることも想定される。

同法案のほか、中国政府が昨年末に決定した銀行業管理監督新規定も、「インターネット監視をいっそう強化している」として非難が殺到した。

同新規定は、中国国内の金融機関にコンピューターなどの情報技術製品を納入する国内外の企業に対し、極秘情報であるソースコードを中国当局に公開すること、中国の暗号化方式を導入すること、バックドアの設置などを義務付けている。米国企業は当初から、見直しや撤回を求め反発を強めた。

中国のテロ対策法案は、昨年10月に全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の常務委に提出された。2月25日に策定された同法案の第1次修正案は全人代で継続審議を行っており、遅くとも数カ月以内に成立する見通しだ。

(翻訳編集・叶子)