無神論を掲げるマルクス主義を元に築かれた今日の中国共産党。独裁政権下で政府高官は日常的にプレッシャーと背徳、罪悪感にかられ、最近では仏教や道教など信仰に助けを求めているという。
香港の鳳凰誌は、元南京市トップの楊衛澤氏が仏教修道者と友好関係にあったと報じた。他にも政府高官が僧侶と行動を共にしている様子をとらえた写真を掲載した。僧侶との親しい関係が発覚して、楊氏を含む複数の高官が失脚した。
「西遊記」で知られる玄奘三蔵法師の霊骨を祀る玄奘寺の住職・釋傳真氏は、南方週刊の取材に対し、政府高官が人生や仕事上の問題を抱えた時、また結婚などの運気を尋ねるためにアドバイスを求めに来ると答えた。また、多額のお布施を受けることも珍しくないという。
海外の中国語メディア・多維新聞ネットによると、中国で著名な僧侶は政府高官との間を取り持つキーパーソンになっている。政府の要人たちはこうした僧侶を通じて、昇進の機会を探っているという。
占いにも頼る政府高官
風水や五行説、陰陽など、中国伝統の価値観も中国高官の間では強く信じられている。習近平政権が強固な反腐敗キャンペーンを展開する中、僧侶や道士に運命の行方を聞きに来る高官は多い。
人民日報は2月4日、一部の幹部の関心ごとについて言及した。「マルクスにもレーニンにも相談せず、多くの宗教の道士に人生相談している」「超常的な事柄に助けを求め精神的に混乱している。香を焚く、縁起物の石を飾るなどに夢中になっている。無視できない現象だ」と、その事実を認めながら、批判した。
新華社によると、不祥事を起こし失脚した四川省の党幹部・李春城氏は、道教の道士へ厄除けのために公的資金数千万元をお布施として渡したと報じた。また逮捕された周永康・前政治局常務委員も、専属の風水師を抱え「最も信じられる男」と評していたと、財新ネットは伝えている。
中国共産党は宗教・信教の自由を禁じている。しかしながら,突如信仰心に目覚め、風水に人生を委ねるなど、中国のエリート高官は迷走しているようにみえる。この行動について、大紀元の政治評論家・張東園氏は、中国の共産主義の空虚さにいたたまれなくなったのではないか、と指摘する。
何十年もの間、神仏を否定し、伝統的価値観を捨てるよう宣伝してきた共産党は、中国文化に大きな痛手を加えたと張氏は指摘する。利潤追求や昇格ばかり追い求める党高官達にとって、マルクス・レーニン主義を信じているものはごくわずかだという。「共産主義政権は完全な失敗」と張氏は加えた。
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