【大紀元日本12月26日】多くの中国の若者にとって、クリスマスは宗教的な行事ではなく、冬の風物詩として定着している。しかし、クリスマスが中国文化を破壊する「トロイの木馬」になると危惧し、クリスマス禁止令を打ち出す大学が出ている。
中国メディア新京報25日付の記事によると、西安市にある西北大学・現代学院のキャンパスで、「欧米の休日に反対」や「西洋文化をボイコット」などのスローガンが掲げられた。大学側はイブの夜に学生全員を集め、孔子など中国の伝統文化を紹介する映像を鑑賞させた。
ある学生は、メディアの取材に対し、この3時間にわたる宣伝ビデオを見なければ、学校から懲罰が下されると話した。担当の教師は放映中、出口付近で見張っており、鑑賞が終わるまで学生は退場できない。
同大の党委員会は公式のミニブログ微博(ウェイボー)で、「外国に媚を売らないで、旧正月のような中国伝統の祭日を重視するよう」と投稿し、学生らに呼びかけている。
25日付米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、学者らの話として、クリスマスの禁止は、中国当局の民族主義と共産主義のイデオロギーを強化する動きと一致していると伝えた。中国政府は今、西洋文化と政治思想の浸透に危機感を強め、伝統文化を重視するよう呼びかけている。
しかし、中国ではクリスマスが大規模な商戦となっている。小売業者らは12月下旬、年間最高の売上を記録している。ほぼすべてのオフィスビルやショッピングセンター、高級住宅でもクリスマスツリーやクリスマスの飾りで盛り上げている。全国各地の店舗で、「ジングルベル」のメロディーが流れている。中国のソーシャルメディアでも、「メリークリスマス」の挨拶は友人の間で飛び交っている。
広がる中国のクリスマス禁止の動きに、ソーシャルメディアで反対の声が上がっている。
あるネットユーザーは微博で「ある日、ヨーロッパ人やアメリカ人、他の東アジアの人々が中国の旧正月に反対し、デモや不買運動を起こした場合、中国のナショナリストがどう感じるかを見てみたい」と書いた。
ネットで人気のある時事評論家姚博氏は「クリスマスへの攻撃者らは、中国の伝統文化を守ることに専念したほうが良い」と述べた。
「伝統への尊重は、他文化をボイコットするのではなく、ありのままの自分でいることだ」
「伝統は永遠に他文化への排斥によって復興するのではない。ボイコットは滑稽なだけだ」
などの声も寄せられている。