【大紀元日本12月2日】中国政府が早ければ来年1月から、預金保険制度をはじめて導入することが明らかになった。国際社会では慣例である同制度だが、中国での導入に際して、専門家は中国独自の国内事情を分析し、「最重要かつリスクの高い改革措置」とみている。
中央銀行全国支店の高級幹部が参加する内部会議が11月27日に北京で開かれ、実施のマニュアルを議論した。中国国務院は3日後の30日に草案を公表した。預金保護の上限は金融機関ごとに預金者一人につき50万元(約965万円)。
中国ではこれまでに、銀行も預金者も実質上、政府の暗黙の保護を受けており、銀行の破たんも預金回収不能も「ありえない事態」とされてきた。
市場経済の原理に反するこのような「暗黙の保護」は事実上、金融機関の不良債権の増加を助長し、一般市民が高利回りハイリスクの理財商品(投資信託)に安易に手を出すという現状を招いた。「何かあったら、政府は必ず救済してくれるから」と各方面が安心しきっている。
今回の預金保険制度の初導入について、専門家らは、「中国政府が暗黙の保護をとりやめ、今後金融機関の破たんを容認する可能性が高くなった」と分析した。
CNNはフランス大手金融機関ソシエテ・ジェネラルの経済学者姚偉氏の見解として、「(中国政府執政以来)史上もっとも重要、かつ最もリスクの高い改革措置」と伝えた。同氏は、預金保険制度の保護対象ではない預金、シャドーバンキングが運営する投資信託商品、債権が今後どうなるかは、同制度のハイリスクの部分であると指摘した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、中国政府系シンクタンク中国社科院のベテラン経済学者・張明氏は「市場の原理を尊重することで金融システムの安定性は高められる一方、中国経済発展にさらなる大きなリスクをもたらす」と一喜一憂の見方を示した。