【大紀元日本9月19日】中国の電子商取引最大手、アリババ集団(BABA)は19日にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場する見通し。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は今年7月、謎めいた政治的背景を持つアリババの投資会社や「※1紅二代」株主について報じた。香港メディアは最近、北京指導部の情報筋の話として、中国当局は米国上場後にアリババを「やっつける」可能性があると伝えた。
「紅二代」、アリババ上場の真の勝者
NYT紙は7月21日、長篇評論「アリババの背後にある多くの「紅二代」株主が米国上場の真の勝者」を掲載し、深い政治的背景を持つアリババの投資会社の状況を明らかにした。報道によると、江沢民元国家主席の孫、江志成(Alvin Jiang)氏が設立した「博裕ファンド」や、陳雲元副総理の子息、陳元氏が15年間率いた「国開金融」(CDBキャピタル)、中国共産党序列5位の劉雲山政治局常務委員の息子、劉楽飛氏や中国共産党の革命元勲、王震・大将の息子、王軍氏に関係する「中信資本」(シティック・キャピタル)など、いずれもアリババに投資しているという。
NYTはまた、「今や、アリババを倒すためには巨大な衝撃を与える必要がある。・・・諸々の国家部門では多くの密接な政治的同盟者を有する」と、北京ベースの証券分析会社美奇金投資コンサルティング会社(J Capital Research)の共同創立者楊思安(Anne Stevenson-Yang)氏の話として述べた。
香港誌「中国密報」の最新号は、「アリババと四大太子の黄金の宴」と題する記事では、北京の情報筋の話として、「NYTの分析は根も葉もない話ではなく、目下の中南海(北京指導部)の情勢に関する一つの客観的論述である。ある指導部関係者からは『これらの紅二代が米国上場で資金を集めた後にアリババをやっつけても遅すぎない』との脅し発言があった」と述べた。
アリババが直面する 潜在的なリスク
今月9日にニューヨークで行われた推進会議では、アリババ創設者の馬雲会長(50)が「当面の最も重要な課題は主に中国各地の政府と政府関係者との関係を維持することである」と述べた。アリババは多くの江沢民派の「紅二代」株主を持っており、江沢民派という色合いが強いため、特に、習政権が展開している共産党政権史上最大規模の腐敗撲滅運動の嵐の中で、江沢民派の大物政治家が次々と失脚していることから、中国政治への強い依存性が働いているこの企業にとって、計り知れない潜在的なリスクとなっているとみられる。
今年の8月中旬から、アリババに関するスキャンダルが海外の中国語メディアから連続して発信された。あるネットユーザーは香港誌アップルディリーの電子掲示板(BBS)で、アリババの馬雲会長と江沢民元主席の孫や劉雲山の息子などの紅二代らは尋常でない「政治的野心」を持っており、彼らの同盟は「単純じゃない」。北京当局の警戒を引き起こす「挑発行為」と見なされているという。
一方、米国議会「米中経済安全保障検討委員会」(USCC)は12日に発表した報告書で、多くの米法律専門家の意見を引用し、アリババが「変動持ち分事業体(VIE)」の仕組みを利用して米国上場を実現するため、巨大なリスクがあることを米国投資家らに警告した。そして、USCCは、中国の法律によれば、VIEの仕組みは基本的には法的に違法であるため、米国投資家にこのような投資に関わらないよう呼びかけた。
アリババは19日にニューヨーク証券取引所に上場する見通し。新規株式公開(IPO)の調達規模を150億ドル~200億ドルに引き上げるとみられる。実施されれば史上最大規模の上場になる可能性もある。
※1「紅二代」とは、中国共産党の高級幹部の子弟等で特権地位にいる者たちとその総称。紅二代の多くは政権の要職についており、世襲的に受け継いだ特権と人脈を基にして、中国の政財界に大きな影響力を持っている。
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