【大紀元日本8月25日】中国不動産バブル崩壊の懸念が高まる中、大手不動産開発会社「万科」の上層部は相次ぎ、「値下げするのも難しい」「次に倒産するのはわが社かもしれない」などと、異例の発言を繰り返した。国内資本が海外の不動産投資に流れる傾向も強まっているとみられる。
中国国内不動産の価格下落、販売不振が続いている。
今年3月、浙江省の中堅不動産開発会社・浙江興潤置業投資が35億元(約580億円)の負債を抱えて事実上経営破綻した。
香港の不動産仲介大手・中原地産の統計によれば、調査対象である国内不動産会社28社の7月の月間売上高合計は、前月比で35%も減少した。
中国国内メディア「財経国家週刊」の20日の報道によると、住宅価格が34カ月下落し続けたという温州市で、当局の統計によると、融資返済不能の物件は1107軒で、その不良債権の総額は64億元(1060億円)に達した。
こうした状況の中、大手不動産開発会社・万科は強い圧力を感じているという。
18日、同社の郁亮・会長は香港での業績説明会で「値下げするのも、やりにくい」と中国特有の国内事情を明らかにした。「値下げに踏み切れば、元の価格で購入した人たちは、モデルルームを壊したり、事務所前で篭城し営業妨害をするなど抗議してくる。国内ではこのようなことは日常茶飯事だ」
また、値下げには行政も関与してくるという。同社の毛大慶・副会長は以前の内部会議で、「値下げしなれば、『値下げしなさい』と当局に促される。値下げすれば、『下げすぎて相場を崩した』と検察当局の調査が入る」と難しい立場を明かした。
一方、各方面のデータでは、海外の不動産に投資する傾向がより強まった。
不動産取引・証券化などの支援・調査を行うジョーンズ ラング ラサール社の2013年当時の報告書によれば、中国国内企業や個人による海外不動産投資は、同年では第三四半期まで総額50億ドルに達し、前年度の年間総額40億ドルを大きく上回った。
24日、同社の王石・理事長は国内企業のトップが集まった会合で、「わが社の今後10年間の発展の方向性を見出せない」「次に倒産するのはわが社かもしれないと心配している」などと異例の発言をした。また、海外不動産投資が増え続ける理由について、同会長は海外移住ブームや、国内投資より高い利回りなどをあげた。「生命や財産をどこまで守れるのか、みんな不安だらけだから、海外に抜け出したいのだ」
同社の上半期の業績報告書によれば、今後、海外投資を2割増やす予定。
不動産バブル崩壊の懸念から、外国資本の撤退が加速しているのも明らかだ。
昨年8月以降、香港の実業家、アジアの大富豪・李嘉誠氏(87)が売却処分した国内の不動産資産は総額200億元(3320億円)に達する、と報じられた。
CNN経済チャンネルの最近の報道によれば、その取材を受けた経済学者の8割は、「中国の不動産バブル問題はその経済発展の最大のリスクである」とみている。
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