【大紀元日本7月10日】懸空寺は中国山西省大同市近郊の有名な寺で、元の名は「玄空閣」。断崖の中腹にぶら下がるように建てられていることから「懸空寺」に改名された。
約1500年前の北魏時代に造営されたもので、中国に現存している、仏教、道教と儒教が一体化した唯一の寺とも言われている。「玄空閣」の「玄」とは中国の道教の教理で、「空」は仏教の教理である。
寺は大同市中心部から南東に約60キロの恒山のふもと近くにあり、峡谷の小さな盆地内に位置している。両サイドは高さ100メートル以上の絶壁で、寺は地上から50メートルの高さの崖にへばりつくようにぶら下っている。遠くから見ると、重なる殿閣を10数本の木の柱が下から支えているのが見えるが、実は寺を真に支えているのは、断崖に深く差し込んでいる特殊加工を施された横木の梁であるという。
また、寺の上には大きな岩が突き出ていて、今にも落ちてくるように見えるが、実は傘の役目をして、寺を大雨から守っているとか。
寺には、6つの主要な楼閣、大小40の部屋があり、木製の桟道で結ばれている。外から小さく見えても、中に入ると広々しているのがわかる。桟道の上を忍び足で歩いても、ギシギシという音がするが決して崩れ落ちない。
寺の中には、仏教、道教と儒教の三開祖の釈迦、老子、孔子など、多くの塑像が陳列されている。唐代の有名の詩人李白は寺を訪れた際、その岩壁に「壮観」の二文字を書き記した。
これまでの1500年間、現地では地震が多発した。特に20年前にはマグニチュード6.1の大地震のときでも寺は破損しなかった。
懸空寺は、1957年には山西省の重要文化財、1982年には国の重要文化財に指定され、いまは観光名所となっている。
この土台もない、横木の梁だけで支えられる数十トンの重さの建物は、なぜ1500年以上も地震の強い揺れや落石から守られたのか。専門家が研究を重ねてきたが、納得のいく答えはまだ見つからないようだ。
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