【大紀元日本4月25日】北京市は深刻な水不足を解決するために、近く海水を飲料用に淡水化する工場の建設を発表した。しかし、同工場が深刻な汚染に見舞われている渤海を水源とすることや、建設費用が高いことから、「高価で汚い水」を飲まされると懸念する声が上がっている。
15日の発表によると、2019年をめどに一日100万トンの海水を淡水化する能力を持つ工場を隣接の河北省唐山市に建設するという。しかし、水源となる渤海は沿岸を工業地帯に囲まれ、工業廃水による汚染が中国で最も深刻な海域として知られている。
さらに、工場の建設費用は70億元、送水管敷設費用は100億元に上るとみられ、水道料金は現行の2倍になるという試算がでている。
「高価で汚い水を飲まされる」との懸念の声に、同プロジェクトを担当する北控水務集団海水淡水化事業部の責任者王小水氏は北京紙・新京報に対し、塩分と重金属の除去や、殺菌などの処理を行えば、「蛇口をひねれば飲めるようになる」と語った。水質の問題については、水源地は渤海の中でも水質が良い曹妃甸に決定しているので、「問題ない」と説明した。
また、同工場の生産能力は北京で使用される水量の十分の一に留まり、これより3倍の規模の工場を現在準備しているとも話した。
一方、国家海洋局は海水の淡水化過程で大量の高濃度塩水が生じ、そのまま渤海に排出すれば、同海域のすでに脆弱になった海洋生態環境にさらに悪影響を与えると指摘した。
中国科学院北京生態環境研究センターの王軍教授は現在の中国では、絶対に安心できる水源を見つけるのはすでに不可能だと同紙の取材に話した。
中国では毎年500億立方メートルの水が不足しており、全国3分の2以上の都市が水不足の問題を抱えている。
(翻訳編集・高遠)
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