党内幹部の調査を主導する中央規律検査委員会の王岐山書記(大紀元資料)
【大紀元日本3月11日】中国共産党中央規律検査委員会は9日、重大な規律違反と違法行為の疑いで雲南省の沈培平副省長を取り調べていると発表した。雲南省の省都・昆明市では1日に社会を震撼させた大規模な無差別殺傷事件が起きたばかり。大紀元が入手した情報によると、この事件は江沢民グループが社会不安を起こし、習近平主席を退任に追い込むために仕掛けたものだという。同省はかねてから江沢民グループの中心人物である薄煕来と深い関係を持っていることから、沈副省長も何らかの形で江グループの計画に加担したとみられ、習主席は江グループの挑発行為に断固反撃する姿勢を見せたとの見方が出ている。
中国メディアは沈副省長の不正について、「雲南省普洱市長在任中の2008年、住民と地元企業との衝突事件で、独断で警官隊を派遣し弾圧に踏み切った。衝突のなかで警官隊が発砲し、2人が死亡する事件が起きた」と言及した。大紀元が指導部に近い関係筋から入手した情報によると、昆明事件の実行者は武装警察との情報があり、このタイミングで同副省長の警官隊動員に言及したのは昆明事件が背景にあるものとみられる。
雲南省は江グループと様々な繋がりを持つところでもある。昆明市に人民解放軍第14集団軍の軍部が置かれており、同集団軍は江グループの中心人物で昨年、汚職などの罪で無期懲役が確定した薄煕来前重慶市トップの父・薄一波氏によって創設され、薄煕来と近い関係にあるとされている。2012年2月の王立軍前重慶市公安局長による米総領事館駆け込み事件の後も薄らは雲南省を訪れ、14集団軍を視察するなど同省とのつながりが深いことが窺える。同集団軍は薄らが計画したクーデターに参加したとの情報もある。
さらに、雲南省の現職トップである秦光栄共産党省委書記は1999年から同省で重要ポストを歴任し、江グループが主導している法輪功弾圧に加担し、法輪功側に弾圧責任を追及すべき人物としてリストアップされている。
現在、調査中とされる周永康前最高指導部メンバーの容疑をめぐって江グループと習陣営がしのぎを削っている。江グループは容疑を周らが企てた政変計画と法輪功弾圧まで拡大せず、汚職だけに留まらせたい思惑がある。政変計画などの責任が追及されると、江まで調査が及ぶのは必至。そのため、昆明など5都市で同時多発無差別殺傷事件を計画し、犯人をウイグル独立派に仕立てることによって、民族政策の失敗で習主席を退陣に追い込む狙いがあったという。また、香港で起きた有力紙・明報編集長殺傷事件もその一環である。
今、開会中の全国人民代表大会で李首相は発言の中で、事件について「人類文明の限界を挑発した暴力犯罪とテロ行為」と強調し、犯人を「暴力的なテロリスト」と表現した。新華社通信は事件後、新疆独立派による犯行と断定したが、李首相は異例にも新華社の表現を踏襲しなかった。そして、昆明事件後、秦書記は事件を新疆独立派による犯行を意味する「聖戦」と発言したと人民日報電子版に報じられたが、まもなく削除された。また、今回の処分が事件の一週間後に突如発表されるなど一連の動きから、今回の処分は江沢民グループに反撃する習陣営の姿勢を見て取れる。