【大紀元日本3月6日】5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)で、発表された今年の国防予算は前年比12.2%増の約8082億元(約13兆4000億円)となった。中国の国防予算は過去20年以上にわたりほぼ毎年、2桁の伸び率を記録している。大幅な増加が続いている中国国防費を「日本に向けてのメッセージ」として捉え、「隣国の軍拡を招く」と国際社会から懸念の声が上がっている。
全人代の政府活動報告で李克強首相は「通常の軍備と国境、領海、領空防衛の管理強化」を明言し、「強い海洋大国を建設する」との目標を打ち出した。
中国国防費は発表された数字の倍以上と言われ、中には3~5倍との見方もある。経済成長が7.5%と鈍化し、地方財政に巨額な債務を抱えるなかの国防費増加について、ドイツの週刊誌デア・シュピーゲルは「日本とその他の隣国に明確なメッセージを送った」と分析した。
米中科技文化交流協会の謝家叶会長も東シナ海や南シナ海での領土紛争が中国国防費の増加を招いたと日本を含む隣国が念頭にあったとみている。
ドイツの有力紙ディ・ヴェルトは「国防費が11.2%増加した2012年、中国政府はその内訳を説明するなど国際社会に理解を求めたが、今年は内訳が省かれ、強い軍隊を作ることは“大国”として当たり前のことになったようだ」と開き直ったとも言える中国政府の姿勢を指摘した。さらに、南シナ海でも防空識別圏を設定する恐れがあるとの懸念を示した。
一方、中国国防大学の喬良教授は英フィナンシャルタイムズ(FT紙)に対して、国内総生産(GDP)に占める割合で考える場合、アメリカの3.4%と比べ、昨年度の国防費はわずか1.4%とあくまでも正常な水準と強調した。同紙も昨年の10.7%を上回る今年の伸び率は東シナ海や南シナ海の領土紛争をめぐって隣国との緊張関係が高まったことを意味すると指摘した。