【大紀元日本2月7日】フィリピンのアキノ大統領は南シナ海の領有権をめぐる中国との争いについて、第二次世界大戦前、当時のチェコスロバキアのズデーテン地方の割譲を求めるドイツのナチス政権に譲歩した西側諸国を例に挙げ、フィリピンを支持するよう国際社会に訴えた。中国を「ナチス」に例えた発言に、中国国営新華社は大統領を激しく非難した。
大統領は4日付の米紙ニューヨークタイムスに掲載されたインタビューの中で「世界は言わねばならない。ズデーテン地方は第2次世界大戦回避のためにヒトラーに譲歩する中で割譲されたことを思い出す必要がある」と述べた。さらにアキノ氏は「フィリピンは決してチェコスロバキアのような譲歩はしない。中国は力があるのかもしれないが、必ずしも正しいわけではない」と語った。
ズデーテン地方はチェコのドイツ人居住地で、第一次世界大戦後、チェコスロバキア領となったが、ヒトラーは1938年にドイツ人が多いことを理由に割譲を求めた。戦争を避けるために、英仏伊などは1938年9月のミュンヘン会議で宥和政策を採りヒトラーの主張を認め、ズデーテン地方はドイツに併合された。当時のドイツはヒトラーによる国内経済の立て直しに成功し、軍事力を増強させるなど、現在の中国と通じるところがある。
ズデーテン地方に言及したのは、大統領が相通じると見なす両国の「カネに物を言わせる」姿勢に念頭があるものとみられる。
新華社は5日に配信した英字記事で、安倍晋三首相が1月にスイスで開かれたダボス会議で、日中関係を第1次世界大戦前の英独関係に例えて説明したことに触れ、「アキノ大統領も安倍首相も恥ずべき政治屋」と非難し、アキノ大統領の発言は「彼が歴史にも現実にも無知なアマチュア政治屋であることをあらわにした」と痛烈に批判した。
一連の発言はドイツでも話題になった。ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(Frankfurter Allgemeine Zeitung)は「同様に中国と領土問題を抱えるベトナムでさえ、フィリピンを支持する姿勢を見せていない。領土問題に関して、誰も中国を敵に回したくない」とアキノ大統領の発言が的を得ていることを指摘した。さらに、同紙の別の記事は「隣国にとって中国の台頭は平和を意味するものではない。隣国は今まで以上にアメリカを頼りにしている」と論じ、「結果的に中国は近隣国をアメリカの仲間にしてしまった」と中国がアジアで孤立することを示唆した。
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