物件情報の看板(Photo credit should read WANG ZHAO/AFP/Getty Images)
【大紀元日本1月29日】中国不動産大手の華遠不動産集団の任志強社長はこのほど、これまでの「住宅価格は上がるしかない」との見解から一転、今後中国不動産市場について消極的な見通しを示した。
任社長は1月21日、国内紙「新京報」が主催した第8回優秀不動産賞において、「この十数年間不動産市場についてスピーチを行ってきたが、今年初めてリスクについて話したい」と発言し、2014年の住宅販売状況は楽観できないとの見解を示した。
任社長が今、最も危惧しているのは「国内経済状況が厳しくなるのに、いまだに多くの不動産開発企業は今年の住宅市場が2013年と同じ高い増長率を保っていけると考えていることだ」と話した。任社長によると、昨年初め住宅販売成約件数は高水準の増長率で維持していたが、その後成約件数が継続して下落した。また2013年通年成約件数が前年比で17.3%増となったが、今年の増長率は10%に達しない恐れがあるとの見方を示した。
北京市住宅建設委員会がこのほど発表した統計によると、2014年1月上旬と中旬の同市の新規住宅と中古住宅の総成約件数が昨年12月同期と比べて約30%減少し、2013年1月同期と比べて46%も激減した。1月28日付の国営「新華網」は2014年の北京など1線都市の住宅価格上昇圧力が依然として強いとし、住宅販売は昨年に続き減少傾向にあるとの見通しを示した。
中国住宅市場の落ち込みは米国当局の量的緩和(QE)の縮小計画で莫大な資金が中国から流出することや国内経済の後退などが主因だが、中国政府当局が昨年11月に「不動産統一登記制度」を制定したことも一因だ。同制度の整備は固定資産税に相当する不動産税の導入に向けた第一歩だが、所有する物件の多い一部の富裕層が不動産登記と不動産税の導入に抵抗して、物件を売却する動きを加速するとみられる。「不動産統一登記制度」は6月末に国土資源部によって実施される予定。