【大紀元日本1月24日】国際的なジャーナリスト組織ICIJは21日、習近平国家主席を含む中国指導部の親族らが、海外のタックスヘイブン(租税回避地)に隠し財産を保有していると報じた。同リストに江沢民一派の名がないことから、ICIJの調査元となったデータは、窮地に陥った江沢民一派が流したものではないかとの見方が出ている。
ICIJによると、カリブ海の租税回避地に設立された企業や信託の顧客リストのうち、香港を含む中国在住者が約2万2000人。その中に、習主席や胡錦濤前国家主席、温家宝前首相、李鵬元首相、故_deng_小平氏といった歴代指導者の親族の名前があった。
しかし、このリストには巨額蓄財で知られる江沢民元国家主席や、元政治局常務委員の周永康氏、曾慶紅氏の親族の名がない。3人の親族はこれまで香港や海外メディアにたびたび登場し、天文学的な数字の巨大な蓄財が報じられていた。リストから3人の名が「漏れている」ことから、ICIJが今回の発表の根拠とした「250万件の文書」の出所に不審の目が向けられた。
ICIJが伝えるところによると2012年11月、同組織トップのジェラルド・ライル氏が租税回避地の金融データを含むポータブルハードディスクを入手した。250万件のファイルがそのディクに保存されており、租税回避地に設立された12万の企業や信託の170カ国の顧客リストが詳細に記されていた。データの規模は、機密情報公開サイト「ウィキリークス(Wikileaks)」が2010年に公開したアメリカ外交公電のデータの160倍にのぼるという。
2012年11月は中国共産党第18回全国代表大会の開催の時期と重なり、胡錦濤・温家宝・習近平・李克強サイドと江一派が激しくせめぎ合っていた時だった。その直前の10月26日には、米ニューヨーク・タイムズ紙が温家宝前首相一族の巨額な「隠し財産」の存在を報じ、それまでの温氏の庶民派イメージに大きなダメージを与えた。
温一族の「不正蓄財証拠」について、同紙のデービット・バルボーザ記者は「10カ月かけて収集した」としていたが、米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、北京に駐在していた海外メディア各社に、温一族を告発する「分厚い」資料が届いていたことを証言し、温一族の名前とその投資の詳細、会計監察機関の監察報告まで資料にあったという。
海外のメディアに、政敵に不利な情報を流す手法は、中国指導部の権力闘争でよく使われている。今回のICIJの調査ベースとなったハードディスクも膨大なデータでありながら、江一派が一切ないことから、データ作成者の意図が見え隠れする。
ICIJは入手データの精査に世界各国の50を超える機関・団体の協力を得たとしている。なかには香港紙・明報と中国メディア1社も含まれるという。明報は香港の返還を控えた1995年に、当時の江沢民政府と近い関係にあったマレーシアの実業家が買収していた。中国メディアも後ろ盾がなければ、歴代指導者の財産を調べることに協力することは不可能であることは明らかだ。
江沢民一派の蓄財はこれまで、たびたび香港や海外メディアに取り上げられていた。身柄の拘束が報じられている周永康氏による汚職に関わる金額が、1千億元(約1兆7千億円)に達していると香港誌「明鏡」は昨年末に報じた。周一族は中国の石油利権を握っていたことから、一族による不正蓄財はこれをさらに上回ると見られている。
一方の江沢民氏は2人の息子が中国の通信事業関連の利権をほぼ独占的に保有している。同族の管財人とも呼ばれる国家エネルギー局の劉鉄男元局長は昨年、汚職疑惑で立件された。米国の中国情報誌『中国事務』は「江沢民はスイス銀行の秘密口座に3億5000万ドルを預けている」と報じており、汚職で死刑となった中国銀行上海支社の元行長の劉金宝は、2002年に江氏のために20数億ドルを用意したと供述したことも報じられている。江派重鎮の曾慶紅氏もまた、息子の曾偉氏が2008年に、シドニーで豪州の不動産取引史上3番目に高価な物件を購入したことが報じられていた。
これらの江派の蓄財が「見落とされた」膨大なデータ。「トラ」にまでメスを入れようとする習近平政権に対し、江沢民一派はいよいよ「脅迫状」を突きつけたようだ。
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