NYタイムズ買収は建前か 「真意は当局の広報活動」 中国富豪、謎の記者会見

2014/01/09
更新: 2014/01/09

【大紀元日本1月9日】米紙ニューヨーク・タイムズ買収に意欲を示していた中国富豪の陳光標氏は7日、ニューヨークのホテルで記者会見を開き、「一面でもいい」とトーンダウンした一方で、法輪功批判や日本政府非難を大々的に展開した。その奇妙な言動は、同氏の訪米の本当の狙いは買収話ではなく、一部の共産党高層の主張を代言するためではないかとの疑いが上がっている。

会見の冒頭で同氏は「中国ドリーム」という愛国歌曲を披露したが、拍手が沸かず、会場には冷たい空気が流れた。

その後、同氏は「ニューヨーク・タイムズの中国関連報道はもっと客観的で事実に基づくべき」と語り、買収について「交渉中で、詳細はまだ発表できない」とした。

各方面が買収の真意に疑問を持っているという記者の質問に対して、陳氏は「まったく気にしていない」と自信を示した。

「中国と領土問題でもめている日本政府を断固として信用してはならない」と米国側への「忠告」も忘れなかった。

記者会見の後半はテーマが一転して、重度のやけどを負った中国人親子が登場した。

2人の成人女性は、2001年旧正月大晦日の天安門焼身自殺事件に参加した法輪功元学習者だと名乗り、同気功愛好者グループに騙されて焼身自殺に参加したと主張した。事件後、中国政府系テレビの関連報道に幾度も出演し、法輪功批判を繰り返していた2人は、今回の記者会見で再び当時の論調を持ち出した。

会見に参加した記者は、法輪功の書籍では、自殺や殺人を含めた命をあやめることを固く禁じているが、なぜ焼身自殺をしたのか、しかもその行為を法輪功のせいにするのかと質問したところ、親子はまた、自殺をはかったグループのリーダー役の名前を口にし「劉雲芳の言うことを信じていたからだ」と答えた。

陳氏は会見で、これまで2人の整形費用を支援したとして、137万ドルの領収書を開示した。

記者会見が行われたホテルの前には、数十人の法輪功学習者が集まり、「法輪功の教えは殺生も自殺も断じて禁止している。彼女たちは元学習者ではなく、当局が用意したプロパガンダの道具だ」と訴えた。

法輪功サイドは当初から同事件について、弾圧を発動した江沢民一派が自作自演したものだと主張している。「学習者に精神異常者のレッテルを貼り、当時弾圧に反対していた国民に法輪功を敵視させ、弾圧を正当化するためである」と江派の企みを批判した。

 在米メディア新唐人テレビは、中国中央テレビ(CCTV)が全国放送した事件の全過程の映像を詳しく分析した上で、自作自演を立証する複数の不審点を突き止め、ドキュメンタリー映画「偽火」を製作した。この映画は2003年11月、米国の第51回コロンバス国際映画ビデオ祭で栄誉賞を受賞した。

一方、CCTVはその後の再放送で「偽火」が指摘した疑惑のシーンを全て削除した。

今回の記者会見について、米国在住の中国問題専門家・横河氏は、「買収は国際世論の関心を集めるための表向きの理由だ。真意は当局のプロパガンダを行うこと」と指摘し、「一個人の行為ではありえない、政治の裏幕があるだろう」と江沢民一派の関与を示唆した。

昨年末、法輪功への迫害を率いてきた「610弁公室」の責任者・李東生氏が失脚し、迫害を発動した江氏にとって致命的な一撃となっている。このタイミングで、重度のやけどを負った親子を海外メディアの前に出させたことで、法輪功批判に世論を向かせようとする策略が見え隠れする。それによって「610弁公室」および法輪功弾圧の正当性を訴え、保身と派閥の巻き返しを図ろうとしていることがうかがえる。

米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道は、「記者会見は用意周到に計画された法輪功批判の茶番劇だ」と評した。

ニューヨーク・タイムズや、ウォール・ストリート・ジャーナルを含め、前日に単独インタビューを行ったという7社はいずれも記者会見に出席しなかった。 

(翻訳編集・叶子)