【大紀元日本12月11日】仏日刊紙リベラシオンの北京駐在員を2000年~05年の間に勤めたベテラン記者、ピエール・ハスキー氏は10月、8年ぶりに北京に戻った感想を、自らが開設したニュースサイトで「汚染、弾圧、消費ブーム 落ち着かない北京の生活」と題する文章でまとめた。以下はその抄訳である。
PM2.5は市民がもっとも注目する話題
8年前までは北京でPM2.5なんて知る人はいない。今日ではPM2.5が北京市民の間でもっとも話題になる言葉となった。空気汚染が人間の健康に危害を与えることを知った北京市民の多くはマスクを着用し、北京のインターナショナルスクールでは空気ろ過用設備を使用している。北京政府は2つの敏感な話題を避けようとしている。一つは経済の急速な発展が環境を急激に悪化させたこと。もう一つは、環境悪化に対して、当局は有力な措置を取っていないこと。中国国内で、環境汚染抗議のための市民活動は後を絶えない。WHOが最近発表した汚染空気の発ガン性や、江蘇省で8歳の子供が肺がんを患った情報は、市民を不安のどん底に追い込んでいる。
影響力のあるブロガーが一斉に沈黙
中国のミニブログ(微博)で影響力のあるブロガーらが今、一斉に沈黙している。中国系アメリカ人の薛蛮子さんを拘束したことが見せしめの効果をもたらし、以来、ブロガーらは静かになっている。彼らの多くは微博から退出して、「微信」に移った。微信はツィッターやフェースブック、スカイプを一体化したようなもので、現在の利用者数は約3億人。当然、微信も他のSNS同様、中国当局に厳密に監視されている。中国のネット警察と利用者との間の「猫とネズミのゲーム」は、ここ10数年来の中国ネット事情の特色ともいえよう。
政治改革が水泡に
10年前、許志永という若者を取材した。当時、無党派として北京市人民代表の選挙に出馬した許さんは、中央テレビ局の記者とカメラマンも連れてきた。いま思えば、それは北京の政治が少し開放的になっていたのかもしれない。それとも当局の演出だったのだろうか。10年後、その時に書いたものを引っ張りだしたら、こう書いてあった。「共産党員でない若い講師は自信に満ちている。彼の政治主張は北京当局に嫌われてもないようだ。取材は喫茶店で行った。店主も有名な自由派だ。このすべては過去の中国では想像し難い。中国政府はこれまでは、許さんのような改革主張を許すはずもなく、中央テレビ局で報道されることも容認することはないだろう」。しかし当時、慎重にも「だからといって、中国当局は政治改革に着手したと断言するのはまだ早い」と書いたのが当たったようだ。
その許さんは今年7月13日から当局に監禁された。習近平政権に体制内から政治改革を実行すべきだと進言したからだ。違法集会、国家政権顛覆の容疑で逮捕された許さんは、劉暁波などと同じく長期にわたる懲役刑が下される可能性が高い。許さんのみならず、王功権、郭飛雄をはじめとする商人、弁護士、学者、記者からブロガー、人権活動家まで広範囲に、当局の意にそぐわない意見を唱える者は次々と逮捕された。
現存の政治体制で、どのように経済改革を続けるのか
中国の経済成長が鈍化している。輸出に頼る経済モデルは改革が必要で、これは国内外の専門家の共通認識だ。一方では、北京で高級洋服店が並び、若者は西側の流行に夢中だ。
数十年来の経済発展で多くの国民が貧困から抜けだした。しかし今後、指導者は中国社会を厳しく抑えつけつつ、中国経済を再度発展させられるだろうか。
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