【大紀元日本11月20日】経団連の米倉弘昌会長ら財界首脳で構成した日中経済協会の訪中団が19日、中国の汪洋副首相と会談した。訪中団側は習近平国家主席や李克強首相との会談を要望していたが実現しなかった。中国国内メディアは、訪中団は「冷遇を受けた」と報じている。
会談では汪氏が「日中関係は比較的厳しいと言えよう」としながらも、「それでもこのような大規模な代表団が訪中したのは、日本側の、日中友好の関係を発展させたい意向、特に経済貿易関係を重視する姿勢を表した」と述べ、経済面での関係改善に積極的な態度を示した。
汪氏は尖閣諸島(中国名、釣魚島)に直接言及しなかったものの、日本政府に「歴史を直視し、関係改善に努力する」よう求めた。
今回の訪問は、中国で重大方針が決まる三中全会が終了した直後に実現されたもので、投資や貿易に関する交渉を行うには良いタイミングである。さらに、汪副首相は経済担当で改革派のホープ。李首相からも信頼が厚い。首相との会談は実現できなかったものの、今後の日中間のパイプ役として相応しい人物である。
ただ、今回の訪中について、中国国内の報道は日中歩み寄りの印象を薄めるものが多い。中国広播網は20日、訪中団は「冷遇を受け汪洋氏とのみ会談」との見出しの記事を掲載。記事は上海交通大学日本研究所の王少普主任の見解として、代表団の訪中は、日本政府の譲歩と見なしてはならず、ほぼ同時期の安部首相の東南アジア訪問は中国に対する「包囲網」の構築であると警戒した。また、日本政府は、経済界を含む各界の声に耳を傾け、中国に対抗する行動をやめるよう要求し、経済面でのつながりを用いて日本政府の姿勢を牽制した。
(翻訳編集・張凛音)