【大紀元日本10月24日】英紙フィナンシャル・タイムズは20日、「中国の不動産バブルは経済と社会安定の最大の脅威になりうる」という内容の報道で、中国政府は進退両難に陥っている現状を分析した。
過去10年間、中国の主要都市の不動産価格はおよそ4倍も上昇した。
同報道は、「経済の面でいうと、不動産バブルの崩壊は確実に金融危機を招く。社会の角度からみると、国民の大半は不動産価格の高騰に強い不満を抱いており、持続的な価格上昇はこの社会問題をいっそう深刻化させてしまう」と中国政府の難しい立場を指摘した。
政府はすでにこの二つのリスクを認識している。李克強首相もその前任の温家宝首相も、「不動産市場の暴走を抑制する」と再三に宣言していた。
今年3月、李首相は就任早々の記者会見で、不動産市場をコントロールするのは国民の生活にも経済の発展にも有益だと明言した。しかし、李首相の談話が発表された後も、中国の不動産市場の熱狂ぶりは変わらなかった。
対応策として、政府は2015年までに低所得世帯限定の「保障性住宅」3600万戸を建設すると発表した。
フィナンシャル・タイムズの報道は、「不動産市場を冷えさせるこの重要な国家戦略は失敗に終わる可能性が高い」と指摘し、保障性住宅は▼不動産価格の上昇を阻止できていない▼汚職幹部に悪用されている▼巨額の負債を抱えている企業や都市政府の財政負担をいっそう強めた、などといった問題点を挙げた。
今年8月に発表された国家審計局(監査院)の統計では、昨年1年間で約58億元(約928億円)の同住宅の建設予算は不正に流用され、11万戸の購入者は申請書類を偽造するなど住宅を不正に取得した。
同報道は、「当局の審計は概ねおおざっぱであるため」実際の不正はもっと深刻であると指摘した。
一方、現場から「政府の的がはずれた」との声も上がっている。南京市の保障性住宅の建設・販売を下請けする不動産最大手の「万科」の幹部は、同市での予想外の販売事情を明かした。「平均価格は1平米あたり約4000元(坪単価約21万円)で、破格に安い住宅であるにもかかわらず、購入対象である低所得者の購買力には依然として及ばない。そのため、需要が供給を大きく下回っている」