【大紀元日本10月8日】安全性に欠き、事故や機体トラブルが続く中国製の飛行機は世界から拒絶されているはずだが、国営メディアは自国の航空産業に賞賛の言葉を浴びせ続ける。海外向け英語放送の中で「自社開発、自社設計のMA-60(中国製小型旅客機のモデル)は中国の航空産業に新しい歴史を築いた」と中国中央テレビ(CCTV)のキャスターは宣伝した。
同局は2006年、インドネシアでの飛行試験に成功した際は「東南アジア諸国に更なる貿易ルートを開拓する」と伝え、同国大手運送企業がMA-60を15機を契約した際は「中国航空産業の歴史上最大の取引」と息巻いた。
共産党の舌である人民日報は「今後20年で400機以上が売られる」と伝えたが、その詳細を同紙は明かしていない。
高すぎる事故率
中国語の軍事情報サイト「エアフォース・ワールド」は事故を記録し続けている。それによると2009年、フィリピンの空港で着陸の際にガードレールに引っかかり、反動で機体は回転し、滑走路フェンスに激しく衝突した。同年ジンバブエの空港では、離陸際に「イノシシが激しく衝突」したため、機体は制御できなくなるほど回転し、機体下部が損傷した。乗客の何人かは、イノシシの存在を否定した。
MA-60が発表された2000年以後、日付や場所が特定できただけでも10件の事故が確認でき、うち7件は海外で起きている。中国の航空誌によると、現在世界で30機が運航され、うち27機は海外で使用されている。
米国の航空業界コンサル企業アビコ・アビエーション代表アラン・パム氏は「事故率は33%と非常に高い。古い技術で安く作っているので当然高い安全性を確保できない。事故は人為的より機械的なミスのようだ」と大紀元英語版に答えた。
MA-60は、旧ソ連(現ウクライナ)が開発し1960年代に活躍したアントノフ24(An-24)を模倣した中国機Y-7(運-7)を改良したもの。
アントノフ24、2005年3月ウクライナのウジュホロド空港で撮影(Elke Wetzig)
MA-60、2009年1月ボリビアのコチャバンバ空港で撮影(トリバン)
助成金と贈与
しかし「危険な飛行機」は、資産5兆円の国有複合企業・中国航空工業集団に支えられ、販売促進されている。同機の問題が白日の下に晒されているにも係わらず、2011年のアラブ首長国連邦首都ドバイで開かれた航空ショーでは、堂々とその姿を現した。
市場に出回る理由について、同機が低い金利で融資されることが背景に絡むと、中国航空業界に詳しい作家ロジャー・クリフは大紀元に話す。同氏はまた「インドネシアとミャンマーの購入には何らかの政治活動、賄賂があったと見ておかしくない」と指摘し、「親善の証としてトンガのように贈与という形で」飛行機が渡された可能性も否定していない。
問題は、「最新技術で自社開発、自社設計」を謳うMA-60が、アメリカやカナダなどのさまざまな国の部品を組み込んでいることだ。「信頼される安全な商業航空機を開発する のは簡単なことでない」とロジャー氏は述べる。
航空業界コンサル企業「エキスパート・アビエーション・コンサルティング」の副代表スティーブ・アブドゥ氏は「中国が航空業界に進出しようとしているという野心は十分に伝わるが、飛行機が空から落ちるというのであれば、懸命なやり方ではない」と話す。
ニュージーランド政府が、MA-60という大きな贈り物をトンガが受け取ったことで同国への観光援助を停止したように、グローバル化し世界中の国々が利益共有関係にある中で、無責任で質の悪いものを提供あるいは受領すれば、おのずと見返りがくる。
「飛行機の安全性に問題があるならば会社に損害を与えるだけだ」とアブドゥ氏は続ける。また「専門技術者がいれば、これほど多くの問題は起こらないはず」と説き、中国国内の航空技師不足も指摘した。
この記事は7日掲載の「安全性の欠如」拒絶される中国機 外交トラブルも勃発その1のつづきです。
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