「安全性の欠如」拒絶される中国飛行機 外交トラブルの要因も その1

2013/10/07
更新: 2013/10/07

【大紀元日本10月7日】中国の航空機メーカーは精力的に自社製品の輸出を試みているが、中国国内を含め事故やトラブルが少なくないため安全性の欠如との懸念から拒絶されている。また他国へ自国製飛行機を贈与し外交カードとしたい中国と、危険性を訴える第三国との間で外交トラブルに転じるケースもある。

中国製飛行機の事故は2000年6月に起こった。湖北省恩施市から武漢市に向かった武漢航空小型旅客機Y-7(中国語:運-7)は着陸間際で近くの村に墜落。乗客乗員44人と近隣住民7人が死亡した。事故原因は落雷と報じられた。事故以降、同機種の飛行は中国で禁じられた。

Y-7を作った西安飛機工業公司は自社製造を謳っているが、実際は旧ソ連・ウクライナ設計局アントノフが製造した「An-24」の模倣品とされている。

「国際基準を満たしていない」中国の飛行機

同社は、軍需用関連企業である中国航空工業集団公司に隷属する。Y-7にカナダ製エンジンと米国製プロペラを搭載し改良した「MA60(中国語名:新舟‐60)」も2000年に発表し、航空機の世界進出を狙っている。しかしヨーロッパ各国では「国際基準の安全性を満たしていない」として受け入れを拒絶しており、納入した東南アジア諸国でも販促などで無償提供が多い。

同機は2011年5月に、インドネシアで25人が死亡する墜落事故を起こしている。事故を受けインドネシア政府は同機の国内3カ所の発着を禁じた。

今年6月にはインドネシアとミャンマーで立て続けに事故が起きている。インドネシア東部の空港では2のプロペラが飛び比翼や機体の損傷を伴う酷い着陸をした。事故を確認した同空港局長Imam Purnomon氏は大紀元英字版の取材に対し「とても驚いた、着地した時に2つのプロペラが壊れ、前輪が外れた」と語った。

同月、ミャンマー南部でも同機のオーバーランがあり、ミャンマー航空当局は「機体に問題がある可能性が高い」として、同型機の国内での運行を停止した。

これらの事故を受けて、カメルーンの航空会社も導入を見合わせると発表している。

トンガ王国とニュージーランド政府 中国航空機めぐり外交問題に

最近ニュージーランド政府は、南太平洋の島郡国トンガに対する約820万ドル(約8億円)もの観光支援費を停止した。理由は、トンガ王国が中国から贈与された小型旅客機「M-60」にある。ニュージーランド側は中国機の安全性に重大な懸念があると主張している。

トンガ国内では今年初めまでニュージーランドの会社が国内線を運行していたが、M-60を運行させる新会社が設立されたため、撤退した。そのため援助の停止は、中国の影響力を強めていくトンガに対する政治的圧力との見方がある。トンガ当局は「中国航空機の問題はトンガではなく中国に言うべきではないのか」と援助停止に不満を訴えている。

トンガに送られたM-60の受け渡し式典では、国王ツポウ6世や交通大臣も臨席した。こうした飛行機の贈与は中国外交戦略の中で政治的に重要なパフォーマンスとなる。中国国営メディアは「成長続ける航空企業の旗艦として中国の飛行機はますます世界の市場に広がる」と豪語した。この報道から見て取れるように中国は今後も「安全性」の欠如は報道せず、黙殺し、「危険な飛行機」の営業を続けるだろう。

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 (記者・マシュー=ロバートソン/翻訳編集・佐渡 道世)