中国の企業負債比率は世界平均の4倍 地方政府よりも深刻=VOA

2013/10/05
更新: 2013/10/05

【大紀元日本10月5日】「中国地方政府の巨額負債が明るみに出たが、中国の企業債務はさらに深刻であり、あまり知られていない」。米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の関連報道はこのように中国経済の警鐘を鳴らし、専門家の意見をまとめた報道を出した。

米金融大手JPモルガン・チェースの統計によると、2012年の中国の企業債務残高は5年間で約3割増加し、約65兆元(約910兆円)に達している。対GDP比は124%で、過去15年間の最高水準である。

一方、先進国の企業債務の平均的な対GDP比は50~70%であり、中国企業の負債規模は約その2倍となる。中国非金融系企業の利益率は世界平均の半分であるため、それを考慮に入れると、中国企業の負債率は実に世界平均の4倍となる。

JPモルガン・チェースは、「中国企業の負債比率は世界の上位。業界別でみると、負債率がもっとも高い企業はインフラ関連産業、例えば、鉄鋼、コンクリート製造、建築機械、石炭などに集中」としている。

米国の有力シンクタンク、カーネギー国際平和財団のシニア研究員で、世界銀行元中国担当局長の黄育川氏は原因の一つとして、中国政府が2009年に実行した超大型の4兆元景気刺激策による「後遺症」だと分析した。

「4兆元(約64兆円)は主にインフラ整備と不動産関係に投資された。投資が計画通りに回収できていないため、関連業界には生産能力過剰、利益率低下の問題が生じ、負債状況がいっそう悪化した。一部の大手国有企業、例えば鉄鋼大手の首鋼集団はいま、借金を返済するため新規の融資を受ける、という自転車操業の状況に陥っている。統計によれば、上場している鉄鋼大手4社の資産負債比率は80%に達した。通常50%ですでに高水準だ」

VOAは専門家の大筋の見解として、「中国経済の過去十数年間の高成長は主に、政府主導型の投資に頼っている」と指摘し、「それにより、多くの産業は生産能力過剰の問題を抱えてしまい、ここ数年の景気刺激策はさらに拍車をかけた」と黄氏同様の見方を紹介した。

米シンクタンク、ヘリテージ財団のベテラン研究員デレク・シザーズ氏は「中国政府の投資規模が大きすぎる。縮小するほかない」と指摘した。

しかし中国政府は進退両難だ。政府投資を減らせば経済はさらに停滞し、社会の安定を脅かす。投資の規模を継続すれば、企業と地方政権の負債状況はいっそう悪化し、最終的には脆弱な金融システムを破壊する。

さらに負債比率が高く、債務の増加が速いのは大手国有企業であることがほどんどで、それに融資するのは国有銀行。そのため、国有企業の抱える返済不能の借金は、最終的に全部政府が肩代わりすることになる。

シザーズ氏は「地方政府の巨額負債も問題だが、最も深刻なのは企業の抱える債務問題だ。両者の重荷はいずれ中国の金融システムにダメージを与えるだろう。中国の銀行の高い不良債権比率が、銀行改革の代償を高めている」と述べた。

(翻訳編集・叶子)