【大紀元日本10月4日】「上海自由貿易区は自由でない」。香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは2日のコラム「モニター」でこう指摘し、金利の自由化も資本の自由化も条件付きで、実施される可能性が低いと分析した。
9月末に上海市で発足した中国初の自由貿易試験区では、今まで政府によってコントロールされている人民元と外貨との交換や、金利が自由化されると発表された。また、対外資本取引に係る規制を撤廃する資本自由化も試行されるという。
しかし、こういった措置には、「リスクが制御可能」との前提条件が付いている。記事は、この前提条件こそネックであり、今の中国ではクリアできないとの見方を示した。
試験区限定の金利自由化が実現すれば、区内の銀行は資金調達のために金利を上げることが予想される。それに対し、区外では政府の規制による低金利が続くため、大量な資金は区外から区内に流れ込む事態が招かれかねない。国有銀行が金欠になり、全国の金融システムに危機が訪れる。
当局は「決してこういった事態を容認できない」。そのため、試験区内の金利は「厳格な制限」を受ける可能性が大きいと記事はみている。また、金利自由化が実現しても、「試験区内外の金融システムを厳重に隔離する措置を取ることが必至」だとみた。
同様な理由で資本移動の自由化も実施されることはないと同記事。「中国国内の金融システムがあまりにも脆弱であるため、金融当局が、資本の自由移動を許す冒険をするわけがない」
記事はさらに、上海自由貿易区と香港を比較した。香港の金利は金融市場で決められ、資本の移動も規制や制限を受けない。「上海自由貿易区がもし、依然と当局の指示で動き、企業が背負うリスクも当局が選別するならば、自由貿易区は自由な市場からまだほど遠い」と主張した。
(翻訳編集・張凛音)