【大紀元日本7月19日】四川省成都市で60歳の男性が複数車両に轢かれ、死亡した交通事故の裁判で、唯一通報した男性に対し、賠償命令が下された。専門家は「ひき逃げを奨励するかような判決」と批判した。
目撃者によると、2011年10月10日、この60歳の男性は道路を横断中、最初にシルバーのワゴンに轢かれ、倒れていた。ワゴン車はいったん停止したが、まもなく現場から走り去った。
この目撃者は男性を助けようと駆け寄ったが、途中で大きな衝突音を聞いたと証言した。別の目撃者によると、このとき、3台の自動車が相次ぎ男性を轢いたという。最後に轢いた乗用車だけが停まり、救急車を呼んだ。ほかの車両はいずれもそのまま逃走した。
轢かれた男性は病院に運ばれたが、まもなく死亡が確認された。警察の取調べに対し、通報した男性は「前方に何かがあると見え、ブレーキをかけたがもう間に合わなかった」「車を降りたら、足が少し動いたのが見えたから、通報した」と供述した。
男性の遺族は通報した男性を相手に取り、訴訟を起こした。裁判所は「足が少し動いたのが見えた」という通報した男性の供述に基づき、「60歳男性を死亡させた責任がある」と判断し、40万元の賠償金の支払いを命じた。
判決文にひき逃げした車両に対して、「見つかれば、通報した男性は賠償金の分担を要求できる」との記述も盛り込まれた。
しかし、この判決に四川省社会科学院法学研究所の韓旭教授は「ひき逃げを奨励するかのような判決」と否定的な見解を示した。「足が動いたという供述だけで死亡させた全責任を負わせるのは証拠不十分と言える」「逃げ得がまかり通る恐れがある」と社会道徳に大きな影響を与えかねない懸念を示した。
(翻訳編集・高遠)
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