内モンゴル自治区オルドス市(MARK RALSTON/AFP/Getty Images)
【大紀元日本7月16日】中国内モンゴル自治区オルドス市は不動産バブルで大規模なニュータウンを建設したが、バブル崩壊で町が「ゴーストタウン」と化したことで有名になった。このほど、財政収入が激減し同市政府の債務危機が一層深刻化しており、同市の東勝区政府は公務員の給料を支払うのに、圧力をかけて企業から15億元(約243億円)の資金を無理やり借り入れたと報じられた。7月5日付国営新華社通信傘下「財経国家週刊」誌電子版が報じた。
同市経済の主力けん引役である不動産業と炭鉱業は、住宅価格の下落で不動産バブルが弾けた事、さらに国内経済の鈍化で石炭価格が急落した事が原因で、不動産関連企業および炭鉱業企業の多くは収益が大幅に減少し、倒産に追い込まれたケースも少なくもない。このため、オルドス市政府の財政収入も大幅に低下した。2012年同市の財政収入は375億元(約6075億円)にとどまった。しかし同市が現在抱える負債規模は2400億元(約3兆8880億円)だとされており、返済圧力が非常に強い。
オルドス市は旧債がまだ返済されていない現状で新債がより一層増えているという悪循環に陥っている。報道によると、オルドス市政府との強いパイプを持つ情報提供者は、「東勝区政府は負債規模が最も多く(約1200億元、約1兆9440億円)とされ、同市は昨年冬に公務員の給料を支払うために、圧力をかけて強制的に不動産関連民営大手企業の伊康集団から15億元を借り入れた。」と話した。伊康集団はすでに東勝区政府に対して巨額な融資を行ってきたため、区政府の度重なる圧力に対して伊康集団が会社本部を東勝区からジュンガル旗地区に移そうとしているという。また伊康集団の他にも、地元の大手民営企業である万正投資集団や神華集団などもオルドス市や区政府の借金をする主な対象となっているという。
東勝区政府系融資プラットフォームの東勝都市投資公司の2011年審計報告によると、同年1年間だけで、区政府は伊康集団、オルドス満世不動産開発公司、北京星河湾不動産公司などの企業や政府関連機関から計25億2500万元(約409億円)と、中国建設銀行や中国銀行の金融機関から計45億元(約729億円)の融資を受けた。
炭鉱業で潤沢な財政収入を背景に、オルドス市政府は2009年と10年に不動産開発の加速に力を入れたため、政府は企業に借金をし、企業は民間融資会社に借金、さらに民間融資会社は市民に借金をした結果、今となって不動産開発に投資した市民のほとんどには苦労して蓄えた元本が戻ってくることがなくなった。
債務を不履行しにて突如行方をくらますのを防ぐために、一部不動産会社の社長の携帯電話の番号は東勝区の「打非弁」(不法犯罪活動を打撃する弁公室)に監視・盗聴されている。また、東勝区のすべての副課長以上の幹部はパスポートと香港・マカオ通行証を取り上げられたという。
オルドス市の深刻な債務問題を解決するために昨年末、同市政府と一部企業の代表者が座談会を開き、企業側が政府に対して債務返済に関する具体的な期日と計画を立てるようにと提案した。しかし同市政府はこの提案を重視していないようである。現在、多くの不動産企業が民間融資会社や貸付を行った一部の個人市民に対して返済金の代わりに、不動産物件をはじめ、車や中国の高級酒などを贈ることにしているという。民主国家の国であれば、オルドス市の現状はすでに財政破たんとみなされる
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