【大紀元日本7月10日】6月に中国国内銀行の間で発生した資金ひっ迫(銭荒)問題で、多くの業界に影響を及ぼしている。鉄道専門家の話によると、建設中の三つの高速鉄道プロジェクトが資金問題で建設工事を中断したという。国内紙「経済観察報」が6日付の記事で報じた。
それによると、鉄道専門家で政府諮問機関である中国工程院の王夢恕・院士は今年の鉄道投資について「3月から全体的に大きな変化はないが、資金問題で西安~成都、成都~蘭州と鄭州~重慶の三つの重要路線プロジェクトの建設工事が中断している」と話した。
2012年末まで中国鉄道の営業距離は9.8万キロに達している。中国元鉄道部(今現在は中国鉄道総公司となっている)の計画では2020年までに総距離2.2万キロの路線建設が予定されているため、毎年の建設距離は3000キロ、年間総投資額は6000億元(約9兆8400億円)に上るという。同時に中国鉄道総公司は毎年、融資先銀行に対して1000億元(約1兆6400億円)の融資利息を返さなければならない。
また、今年年初に元鉄道部が発表した年間計画では、2013年に全鉄道路線の固定資産投資額は6500億元(約10兆6600億円)、開通する新路線が5200キロ以上との目標を設定した。しかし、このほど鉄道総公司が発布した『中国鉄道主要指標達成状況』からみると、1~5月までの鉄道固定資産投資額は1575億1000万元(約2兆5832億円)で、その内インフラ建設投資は1322億8500万元(約2兆1695億円)にとどまっていた。今年年末までの7カ月以内に、計画の大半約5000億元(約8兆2000億円)のインフラ建設投資を達成しなければならない。資金調達が鉄道総公司にとっては大きな課題となっているが、6月に発生した「銭荒」が鉄道建設の進行を阻んだ。
国内経済紙「21世紀経済報道」6月25日付の記事によると、ある年内開通に向かって建設中の高速鉄道プロジェクトの幹部は、融資先の銀行から約束した融資のうち50~60億(約820億円~984億円)の資金が未だに入らず困り果てているという。また同幹部は、約束の資金が入ってこないために銀行側と話しあったが、銀行側が今後融資契約で約束した資金を期日通りに渡せるかどうかは分からないと話したことを証言し、必要な資金がなければこのプロジェクトの建設はあと1カ月で停止せざるを得ないと述べた。実際、業界関係者によると、年内の開通を目指している成都~貴陽路線(雲南省区間)の高速鉄道に関しては具体的な建設日程はまだ組まれていないという。
一部の関係者は銀行間の資金ひっ迫で、2011年に起きた投資計画の未達成事態が再び起こると危惧している。2011年に資金調達問題で、元鉄道部が計画した投資プロジェクトの90%は建設が延期され、工事停止期間が最長9カ月にも及んだ。また、3月に鉄道部が解体され、国有企業となった鉄道総公司の資産負債率はすでに61.8%に達している。さらに以前と違い、融資する際に抵当が必要となるため、融資を受ける難さが増している。