香港企業、中米で巨大運河建設、専門家「米支配を抑えるため」

2013/06/18
更新: 2013/06/18

【大紀元日本6月18日】中米ニカラグアの国会は13日、香港企業に建設と運用を任せる「ニカラグア運河」の建設プロジェクトを承認した。同運河は同国を東西に横切り、カリブ海と太平洋と大西洋を結ぶ。専門家は、運河の経済収益が見込めず、ビジネス価値が低いと指摘し、「中国当局の政治的狙いがある」とみている。

運河の総工費は約400億ドル。完成すれば、長さはパナマ運河の3倍、約150マイル(約240キロ)に達する計画だ。

建設の権利を取得したのは、香港‐ニカラグア運河発展投資有限公司(HK Nicaragua Canal Development Investment Co.Ltd,以下HKND)」

中国の大手ポータルサイト「新浪網」の報道によると、建設期間は約10年間。竣工後、HKNDは運河の経営権を持ち、その期間は通常の50年間に優遇措置としてさらに50年間を延長し、計100年間になる見通し。

AP通信は、「太平洋とカリブ海を結ぶパナマ運河の最大の競争相手になる」と伝えた。

一部の報道によると、HKNDの取締役社長・王靖氏は中国大手国営通信会社の経営陣の元メンバー。同社は2012年8月に香港で設立した直後の9月にニカラグア政府と協力備忘録を締結した。

米政府は1914年までに3.75億ドルの総工費でパナマ運河を建設した。同運河の存在によって、米国はラテンアメリカや世界に大きな影響を与えたとされている。

ニカラグア運河が実現すれば、太平洋と大西洋を結ぶ主要航路上で中国は地政学的な影響力を強め、米国の支配を抑えることができる。

航空運輸業界の専門家の間では、プロジェクトの経済収益はあまり見込めないことから、「中国当局の政治的狙いが見える」との見解が多い。

カナダのコンサルティング会社Delcanのアナリストのロザリン・ウィルソン氏は「私なら、このプロジェクトに興味を持たない」と一蹴し、「世界経済の低迷で大型コンテナの輸送需要が減少する傾向にある。さらに、地球温暖化のため北極も、中米を横断する新たしい手段になりうる」と指摘した

ニューヨーク・タイムズ紙の報道は未確認情報として、「同プロジェクトは中国当局のバックアップを得ている」と伝え、当局の政治的策略である可能性を示唆した。

ニカラグア国内で、反対の声も少なくない。その理由として▼HKNDの前身は紙パルプの企業であるため、建築の実績がない▼HKNDが総工費400億ドルの巨額資金を負担できるのか▼プロジェクトの審理時間は短すぎる、などが挙げられた。

今回の運河建設のほか、HKNDはニカラグアで鉄道、港、国際空港、石油パイプラインの建設権利をも獲得した。

あるパナマ財界の有識者は、「このプロジェクトから、中国当局がパナマ運河に対抗する野心が読み取れる」と述べた。

プロジェクトが可決された翌日、ニカラグアの民間団体「ニカラグア運動」は公開状を発表し、「ニカラグアは売り物ではない。すべての国民のものであり、オルテガ大統領一族の私有物ではない」と強く抗議した。

AP通信の報道によれば、米国政府は同建設プロジェクトについて「立場を持たない」としている。

(翻訳編集・叶子)
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