【大紀元日本6月3日】広東省東市市の電子部品加工工場に勤務していた14歳の少年は先月21日に死亡した。3カ月前から休日なしで毎日10時間以上働き詰めだったという。過労との関係は不明だが、睡眠中に息を引き取った。この事件により、これまでに度々問題となった中国の少年工問題は再び注目された。南方日報5月31日に報じた。
中国の労働法では、満16歳以下の未成年の雇用は禁じられている。少年は人材派遣会社に年齢の改ざんを指示され、同工場に勤務していたという。
記事によると、少年の実家は広東省化州市近郊にある貧しい村で、祖父を含めて一家6人の生活は苦しく、家計を助けるために少年は12歳のときから父親と一緒に農作業の手伝いや、工事現場の仕事に従事してきた。2人の日当は一日約60元(約1000円)しかなかったという。
3カ月前に、「もっとお金を稼ぎたい」と少年は長距離バスに乗って400キロ離れた東莞市にやってきた。派遣会社は少年に偽名を付け、偽の身分証明書を作り、年齢を18歳と改ざんした。2日後、錦川電子有限公司に雇われた。
仕事内容は生産ラインでパソコン本体の配線作業である。同僚の話では、「10時間、同じ動作を繰り返す単純な作業」。その一方で、父親との電話で、少年は時々「とても疲れている」とこぼしていたという。
ほかの労働者と同様に、時給は8.5元(約136円)。残業のときは少し上乗せされる。休日がなく毎日10時間働くと、残業代込みの月給は約3000元(約4.8万円)。初めての給料を貰ったとき、少年はすぐに田舎の両親に500元(約8千円)を送った。少年にとって最高額の仕送りで、両親は当初とても喜んでいたという。
少年が亡くなった後、父親は、「息子の命はこの500元と取替えになった」と悲しみに暮れていた。
同僚の証言によると、亡くなる前日の5月20日、無口な少年は体の不調を訴えることもなく、いつものように夜8時に残業を終え、宿舎に戻って夜10時に就寝したが、そのまま帰らぬ人となった。翌朝、同僚が少年を起こそうとしたときは、ベッドですでに冷たくなっていた。死亡推定時刻は当日朝1時頃だったという。
国内メディアの報道は、過労死に結びつく証拠はないとしている。
中国労工視察(China Labor Watch、米国ニューヨーク拠点)によると、同工場は台湾の電子部品メーカー3CEMSの施設で、同国大手電子機器メーカーASUSの部品を製造していたことが明らかになっている。少年の死についてASUSの製品部マネージャーは、IT情報サイトPCWorldの取材に対して「最も高い倫理観でもって調査団を送った」と回答した。
2008年にも同市で四川省から時給45円の非常に安い賃金で大量の児童労働者を募集し、工場で働かせていた事件が報じられている。
少年たちはいずれも貧困家庭に生まれ、教育を受けることができず、出稼ぎで実家に送金するなど、貧困から脱出する手立てとして期待されている。
2012年2月、英メディアは少年工の問題を取り上げた。ある中国の工場では15歳の少年工らがロンドン五輪の記念バッジを製造していたという。「毎日11時間働き、時給は約0.6元(約10円)」「作業現場では有毒物質・硝酸のにおいが充満していた」と伝えた。
香港のNPO団体「中国労工通訊」の2007年の調査報告書によれば、本土の工場では1~2千万人の少年が過酷な労働条件で働いている。
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