【大紀元日本5月30日】ケガにより死期を早められた祖父の事で、許帥さんの気は収まらなかった。しかも、家族の状況は複雑になる一方だった。
土地の新所有者とのもみ合いから4日後、警察から電話が入った。あの日、許帥さんが蹴った所有者の女性はじん帯を損傷する大ケガを負ったため、「傷害の容疑がある」と告げられた。許帥さん自身はそこまで蹴ってはいなかったと覚えている。
2番目の子はわずか生後8日だった。この世の不公平さはあまりにも酷いと感じた。
妻と2人の子どもを連れて許帥さんは地元の山東省イ坊市の陳情局を訪れた。
「すべて事情を説明した。でも彼らはなんて言ったと思う? 『そんなに強気なら英国大使館に行けば』」
その日の夜、自宅に戻ると、一家はならず者の襲撃を受けた。両親は負傷し、許帥さんは電気ショック棒を当てられ気絶した。ジョアンナさんは暴行されなかった。子どもたちは母親の腕の中で泣いていた。
「警察に通報した。でもなんて言ったと思う?『許帥さん、そんなこと言っていいの?あなたにはまだ傷害の件があるんだよ』。その後、警察官は現場に来た。でもなんて言ったと思う? 『襲われた? そんな証拠はどこにあるのか』
許帥さんは失意の中、警察の「問題は解決済み」と記された書類にサインした。
その後、英国領事館の関係者が家族の家を訪れた。しかし、当局の関係者も大勢同行していた。家族は脅かされて何も言えなかった。ジョアンナさんは、もう中国での生活に慣れることはできず、英国に戻りたいと話したが、「もし中国を離れれば、俺が逮捕されることを彼女は知っていた」ため、戻らなかった。
許帥さんの陳情で、村長は、傷害事件を取り下げるようにすると約束したが、検察からは後日、立件の通知が届いていた。
大使館に駆け込んで避難を求めることなどできない。中国に残された家族や友人が嫌がらせや迫害を受けるからだ。そうすれば将来、親戚の子の将来にまで悪影響が出る。
突然の収用に遭い、住む家と土地をなくし、抵抗すればならず者の暴行を受ける。陳情をしても取り扱ってもらえない。外国籍の妻は中国での生活に怯えるものの、夫の身を按ずれば帰国することもできない。出口のない闇のなか、許帥さんは希望の光を語った。
「子どもたちの将来の為に、この国は良い国で、憲法に基づく社会であることを私は望んでいる。次世代にこの過ちを繰り返さないでほしい。私が苦しんでいる分で、もう十分だ。次世代のために、皆がこの国が好きで、誇れる国であってほしい」
しかし、許さんの希望にはネットユーザーは賛同していない。「理想は美しいが、現実は残酷だ。逃げられれば逃げ切ったほうがいい」「99%の中国人は愛国だけど、国は1%の中国人しか愛していない」「外国人妻だから、当局もまだずいぶんと礼儀正しい。しかし、本性はそのうちさらけ出されるものだ。逃げたほうがいい。法律・公平・調和、これらの言葉は私達から遠ざかっていく」。夫婦の今後を心配する声が集まっている。
(おわり)
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