毛沢東の肖像画 (Getty Images)
【大紀元日本5月15日】中国では最近、思想統制強化への動きが目立っている。中国共産党の直属機関・中央弁公庁はこのほど、党の全国における地方組織に『現在のイデオロギー状況に関する通達』を配布し、「注意すべき7つの問題」を提起した。これに先立ち、党中央が北京や上海などの大学を対象に、市民社会や党の誤りなどに関する「7つの禁句」を設けたことが話題になったばかりだ。
フランスのRFIラジオの13日付報道はネット情報として、中央弁公庁が提起した7つの問題を伝えた。方向性の問題や路線の問題、思想の問題などが含まれており、それぞれの問題に対し、「旗の色を変えない」「社会主義を解体ではなく、改善」「毛沢東思想の再提起」などの方針が決められている。
この7つの問題についての通達と同じ時期に、大学に対する言論・思想への引き締めも始まっている。11日、複数の香港紙は中国の教育関係者の話として、7つのテーマを大学の講義で語ってはならないとの指示があったと伝えた。7つのテーマは「普遍的価値(自由・人権など)」「報道の自由」「公民社会(市民社会)」「公民の権利」「党の歴史的誤り」「権貴資産階級(権力と資本が癒着した階級)」「司法独立」となっている。
しかし、通達も大学に対する禁止令も現在、当局による詳細な発表はない。通達に関しては、一部の地方党委の公式サイトは当初、幹部らが学習したことを報告していたが、その後、こういった報告もすべて取り下げられている。
「7つの禁句」も口頭で伝えられており、「知らない」とする北京の大学関係者も多数いるという(VOA)。また、「7つの禁句」を意味する中国語の「七不講」はインターネット上では検索不能となっている。
こういった動きについて、当局は内部では統制の強化をはかる一方、対外的には、そのイメージを与えないよう慎重な姿勢をとっているとの見方がある。
また、立て続けに伝えられた引き締めの動きは、習李体制がこれまで掲げたビジョンとは相容れないところがある。一部の専門家は、思想の引き締めに見せかけているのは、党指導部の左派ではないかと疑っており、彼らが習李の威信を失墜させるためにこういった作戦に出たとみている。
一方、改革派誌とされる国内誌、南方週末や財経の記者を歴任した楊海鵬氏は、風向きの急変は、左派を代表する薄熙来の失脚後、自由主義を擁護する右派が急速に実力を伸ばしたことへの反動だと分析。発足後間もない習李体制はまだ路線を模索する段階にとどまっているに過ぎず、左派右派のバランスを見極めながら、権力体制を確立していくものと楊氏はみている。
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