【大紀元日本4月24日】被災者を助けたいのが、悪用されたくない―。中国南西部の四川省雅安市で起きたマグニチュード7の地震から3日が経過した。香港では梁振英行政長官が、被災地へ1億香港ドル(約12.7億円)もの寄付を提案し、24日の議会で採決される。しかしこれについて、支援が被災地へ届かず、悪用や汚職に利用されることを懸念してか、地元紙の調査では9割の市民が「公的資金を使った寄付」に反対していることが明らかになった。
梁長官と市民の間では、相当な温度差があるようだ。梁長官は「愛すべき同胞のために」積極的な支援をと市民に呼びかけていた。しかし2008年四川大地震の際、倒壊した小学校の建設のためと香港市民から集まった寄付が豪邸に変わるなどして、市民にとって大陸への「寄付」自体に信用がない。
調査を行ったのは人気英字紙サウスチャイナ・モーニングポストで、23日午前に投票は始まった。24日午前の時点で「香港は1億ドルの寄付を四川地震被災者に送るべきか?」との問いに、投票者の大半を占める91%が「いいえ」、7%が「はい、ただし不正防止策の下で」で、2%が「はい」と答えた。同紙のインターネットアンケート結果は信頼性があるとして、他国英字メディアも引用している。
投票者は同調査のコメント欄で、権威者による汚職や腐敗により寄付金が不正利用されるとの懸念と、北京当局への不信感をあらわにした。 「寄付には反対だ。しかし北京と香港の対立を意味するものではない。公的資金は香港行政運営にあてがわれるべきで、寄付は個人の慈善に基づくものだから」「寄付は腐敗した当局へのものではない。貧窮者にあてがわれる善意だ。ことわざに『一度だけ私をだましたなら君の恥、2度も私をだましたのなら私の恥』とある」「寄付金はすべて汚職者のポケットに入るだけだ」
中国当局によるとこれまでに193人が死亡し、25人が行方不明、けが人も1万2000人を超えるという。また、食料やテントなどの支援を必要とする人はおよそ41万人に上る。
中国当局は、国内の民間慈善団体や、日本を含む多くの国の支援の受け入れを拒否しており、人民軍や警察部隊の救助活動に頼っている。そのためインターネットでは「人命よりメンツが大事なのか」との批判の声が絶えない。被災地では、支援が行き届いていないことに対する鬱憤がつのり、被災者はボードを掲げ、必要品の援助を訴えている。