(Photo/Getty Images)
【大紀元日本3月21日】中国人民解放軍のタカ派と目されていた劉源上将は最近「戦争は残酷だ」と、国内に広まる好戦的論調に水を掛ける発言を続けている。故劉少奇国家主席の息子で、習近平主席の右腕として知られる劉氏の発言だけに、当局の姿勢軟化を示すものではないかとの憶測を呼んでいる。
ロイター社17日付の報道は、劉氏が全人代期間中にニュースサイト・中国網の取材を受けた際の発言を取り上げた。「私は軍人であり、戦争は私の本分だ」としながら、「私には政府や海外、そして人民に戦争の本質を伝える責任がある」と話した。
氏はさらに、「平和な時期が長すぎたため子どもたちは戦争を知らない。それはとても残酷で、代価も大きいものだ」「別の方法があれば、極端な暴力的手段で解決する必要はない」と今までの軍高官の論調と一線を画した。
尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる日本との対立について、「今は(戦争するのに)ふさわしい時期ではないかもしれない」との見解を示した。日中間の問題の大半は「メンツの問題」だとし、「何が大局で、何が中国と日本の国民にとって最大の利益なのか」をはっきりさせる必要があると主張した。
人民解放軍の4大総本部の1つとなる総後勤部政治委員でもある劉源氏は習近平主席と懇意な間柄。軍上層部でほぼ唯一、冷静論を唱えているが、劉氏のポジションと発言のタイミングから、習体制の対日強硬姿勢は今後軟化する可能性がうかがえるとロイターは指摘した。
米ブルッキングス研究所の中国外交政策の専門家・孫雲氏も、「新しい指導者が米国との関係や外交問題の解決に本腰を入れるにつれ、海洋紛争は一定の歯止めをかけられるだろう」と同様な見方を示した。
ロイター社は同報道で、当局が偶発的衝突のリスクを軽減する措置を講じているとも伝えた。複数の政府部門にまたがっていた海洋権益保護の役割を国家海洋局にまとめたことは、係争海域で活動する自国艦船へのコントロールを強化し、不意な衝突を回避する狙いもあると一部の専門家はみているという。
劉源氏は先月にも、「経済建設は重要な段階に入ったため、予想外の事件で中断されてはいけない」などと戦争論から距離を置く発言をしていた。
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