江沢民の降格と「三高」楽団の解散 江勢力の衰退か

2013/01/24
更新: 2013/01/24

   人民大会堂前(Getty Images)

【大紀元日本1月24日】21日、中国国内メディアは中国共産党の江沢民・元総書記に関連するニュースを2つ伝えた。1つは、共産党中央軍事委員会元秘書長の故・楊白冰氏の葬儀の模様を伝えるニュース。国営新華社はこのニュースで、江氏を現職最高指導部メンバーの後、最後の12番目に紹介した。もう1つは、江氏の愛顧を受けている、党や軍の高官らによる楽団が解散されたというニュースだ。解散は12月22日に決定されたものの、1ヶ月後の、江氏の序列後退と同じ日に伝えられた。2つのニュースは江沢民一派勢力が衰退した象徴として見受けられている。

江氏の序列後退について、2日後の23日、江氏が「ほかの引退した同志と一緒にするように」と自ら願い出たと新華社通信は短文で伝え、「1人の共産党員の高潔な人格と広い度量を現した」と称えた。この「自らの」要請は11月の党大会後にすでにされたとも記されている。しかし、11月末、党の老幹部が死去した際には、順番の後退を申し出たはずの江氏は依然、胡錦濤主席と習近平総書記に次ぐ3番目に紹介されていた。

今回3番目から12番目に後退したことは、江氏の要望によるものよりも、今月起きた南方週末の改ざん事件や、労働教養制度廃止報道のもみ消しなどをめぐって、上層部が繰り広げた攻防戦の中で、江氏が劣勢にいるからだとの見方が大勢だ。2つの事件とも、習氏が掲げる「法治の実現」が江氏ら保守派による追い落としを受けた形だった。

もう1つのニュースの主役となった楽団は俗称「三高楽団」。メンバーはもっぱら高級幹部、高級将校、高級知識人。楽団のまとめ役は江一派の重鎮で元政治局常務委メンバーでもある李嵐清氏。楽団のメンバーには上海市トップの韓正氏や深セン市トップの王栄氏、内モンゴル自治区トップのバータル氏、中央社会主義学院の叶小文書記、新華社の周樹春・副社長などの大物がずらり。楽団は昨年3月に結成され、8月には北戴河で最初のリハーサル。同月26日には内部公演を行ったという。この時期は党大会の準備期間で、大会の準備会議「北戴河会議」の時期とも重なっている。その後も楽団は北京、天津、上海、南京などの大都市で公演を繰り返したという。

国内メディア・南京日報によれば、三高楽団は昨年12月22日、江氏の題字が掲げられている北京の国家大劇院で最終公演を行った。江氏、李嵐清夫妻、さらに江氏に近いと言われる現職常務委員の兪正声氏、国務委員の劉延東氏などが出席したという。「楽団は党内某派が力を誇示する場であり、元老政治の舞台でもある」。香港紙・東方日報がこのように指摘したこの楽団は、習氏らにとって不安材料に違いない。楽団の短命から、習氏らが江一派の集結を警戒し手を打ったことがうかがわれる。さらにこの解散の情報が江氏の降格と同じ日に報じられたのも、江一派に追い討ちをかけたと見られる。

(張凛音)