第18回共産党大会の会場となった北京の人民大会堂(Getty Images)
【大紀元日本11月16日】中国で15日から習近平新体制がスタートした。注目の最高指導部・政治局常務委員も発表され、江沢民一派とされる顔ぶれが多数を占める結果となった。一方で、胡錦濤・習近平サイドでは党大会前から軍部人事を布陣し、軍の指導権を手中にしている。熾烈な権力闘争の末、両派が共産党政権の維持を優先し、政・軍を分けることで権力配分の均衡を保った形となった。
15日に発表された「チャイナセブン」の中、張徳江・重慶市党委書記、兪正声・上海市党委書記、劉雲山・党中央宣伝部長、張高麗・天津市党委書記の4人は保守派で江沢民氏に近い。胡主席サイドの李源潮・党中央組織部長や改革派のホープと目される汪洋・広東省党委書記の昇格はなかった。
一方で、党大会前に布陣が進んだ軍の要職には胡錦濤主席の強い影響力が残されている。軍の4大トップとなる総参謀長、総政治部主任、総後勤部部長、総装備部部長の全員は胡・習両氏が抜擢した側近。中でも北京軍区司令官から、作戦と情報を握る総参謀長に昇格した房峰輝氏は胡主席からの信任が厚く、2009年の建国60周年記念の軍事パレードでは総指揮官を務めた経歴もある。
また、中国の7大軍区のトップにも胡・習に近いメンバーが就いている。首都北京と周辺の防衛を担当する北京軍区の新しい司令官は、かつて習氏の部下の張仕波氏で、習氏から絶大な信頼を受けている。蘭州軍区トップ・劉粤軍氏も習組とされており、南京軍区の蔡英挺氏、広州軍区の徐粉林氏、済南軍区の趙宗岐氏は胡主席が引き上げた幹部である。
このような権力分配の構図について、在米中国問題専門家・石藏山氏は「各勢力の短命な権力均衡にすぎない」と切り捨てた。派閥間の利益対立は今後も避けられないとして、共産党政権の維持という共通の目標から優先した党内の安定も一時的なものに過ぎないと指摘した。