中国の臓器密売を描く韓国映画、一斉上映へ 「氷山の一角だ」

2012/09/01
更新: 2012/09/01

【大紀元日本9月1日】中国での臓器狩りを題材とする韓国映画『共謀者たち(原題)』が8月30日から、韓国各地の映画館で一斉に上映されている。この映画は、中国で誘拐された韓国人女性が生きたまま臓器を摘出(臓器狩り)され、死亡したという実話に基づいており、闇組織と税関、病院、公安当局が組織ぐるみで、生きた人間の臓器を摘出し、密売する犯罪の裏を描いている。

中国の政府機関と闇組織が結託した臓器狩問題を韓国メディアはしばしば取り上げており、今回の映画の題材となる事件も2009年に報じられていた。韓国人の新婚夫婦は中国での観光時に新婦が誘拐された。新婦が発見されたときにはすでに死亡しており、彼女の内臓はすべて消えていたという。

このルポを見た映画監督のキム・ホンソン氏は、衝撃を受け映画化を決意したと次のように語った。「この映画を通して、中国社会の深層に根付いた臓器の摘出・密売の実態を明るみに出したい」

映画の中で描く、生きた人間から臓器を奪い取るという残虐な行為に臨む犯人達の異常な心理と邪悪な表情を演出することが極めて難しかったと出演者らは口を揃える。「本当にこのようなことをするのは、人間ではなく、畜生です」と主演男優イム・チャンジョン氏は述べた。

一方、映画で明らかになった「畜生」の所業はまだ氷山の一角に過ぎないと指摘されている。2006年、獄中で行なわれている、大勢の法輪功学習者からの臓器摘出が証言された。東北部瀋陽市の病院で同学習者の角膜の摘出を行っていたという医者の元妻が米国に渡った後、病院と刑務所が闇組織と結託して学習者を殺し、臓器を摘出・密売しているとの実態を暴露した。

それを受け、カナダ前国会議員のデービット・キルガ氏と、人権弁護士デービット・マタス氏は独立調査団を結成し、調査を開始した。後に両氏は大量の証拠に基づいた報告書を発表し、「中国での法輪功学習者を対象とする組織ぐるみの臓器狩りは事実だ」と結論づけた。

重慶市の元公安局長・王立軍氏が今年2月に米国総領事館に駆け込んだ事件に誘発され重慶市元トップの薄氏が失脚した。また薄の妻も殺人罪で死刑(執行猶予付き)が確定し服役した。そして、彼らが関与したとされる法輪功学習者を対象とする臓器と死体の密売実態も浮かび上がって来ている。

(記者・文龍、翻訳編集・叶子)