28日、江蘇省南通市啓東で1万人以上の抗議デモが発生(ネット写真)
【大紀元日本7月30日】江蘇省南通市の県級市である啓東市で28日、王子製紙の工業排水計画に反対する抗議デモが発生し、学生を含む現地住民1万人以上が参加した。当局が参加者に暴力を振るうなど武力鎮圧し、死者が出たとも伝えられているが、これについて当局の発表はない。
当日朝6時、学生を含む1万人以上の市民が抗議のプラカードを手に大通りを行進し、市政府庁舎前を占拠した。南通市政府が王子製紙を誘致した際、海に面する啓東まで110キロのパイプラインでつなぎ、放水できる約束をしていたからだ。
抗議する民衆は公用車などを横転させ、警戒線を突破し市政府庁舎内に侵入したおよそ100人が窓から書類をまくなどした。これらの人々が市長室で高級たばこや酒類などを発見したため事態がさらに激化。抗議活動がエスカレートする昼前に地元政府は排水管工事計画の撤回を発表した。
学生が先頭に立つ
香港の中国人権民主運動情報センターによると、今回の集会とデモ行進は啓東市の学生らがQQチャットルームや交友サイトなどを通じて呼びかけた。
これに対し、情報通と名乗るユーザーの書き込みによれば、21日から、市政府は各級機関、企業、学校、各地区の職員や帰郷している大学生すべてにデモに参加しないよう秘密裏に通達したうえ、参加者撮影し、ひとりひとりを探し出し免職、学生は啓東市で採用しないなどと脅迫したという。
抗議活動の様子(ネット写真)
地元住民陳さんは大紀元の取材に対し、当局は事前にデモを沈静化させるため、工場に土日出勤するよう要請し、出勤できない人にデモに参加しないという承諾書を要求していた、と証言した。さらに学生のいる家庭に対し、大学入試と就職で不利になると圧力をかけ、デモに関するウェブサイトを閉鎖した。だが、それでも当日は「多くの学生がデモに参加し先頭に立っていた」という。
現地住民がミニブログで書き込んだ情報によると、当日警察がおよそ100人のデモ参加者を逮捕しており、その多くが若い学生であった。また、政府側はデモに参加した教員と生徒は一律に除名すると表明したという。
抗議する文言の入ったTシャツを破り取る公安(ネット写真)
一方、死亡者情報も伝えられている。啓東市住民白さんが大紀元に寄せた情報によると、28日の昼ごろ、省内の蘇州市や無錫市などからも公安と特殊警察部隊がやってきてデモ活動を鎮圧した。市の花園路や長江路などで抗議参加者に暴力を振るい、18歳の女子学生がその場で死亡し、男子学生も一人重傷を負い、病院へ運ばれたが死亡したという。この件に関しては政府側のコメントを得ていない。
90年代生まれ、抗議活動の主力に
今回起きた啓東市の万人デモは、今月初めに四川省徳陽市の什邡で起きた、銅モリブデン工場建設に反対する抗議デモに続く、郷里を守るため学生たちが先頭に立って行った抗議活動である。
血まみれになった抗議者(ネット写真)
「犠牲になっても構わない。『90後』(90年代生まれ)だから」。什邡デモでこの言葉がインターネットを駆け巡った。「私たちは自分の代で作った責任を次の代に押し付けている。80年代、90年代生まれの幸福を奪っているのは、権力と資源を掌握している50年、60年70年代生まれである。青年たちに犠牲の血を流させるのは恥ずべきことではないだろうか」と、中国の有名ブロガー・葉隠さんが発展の負の遺産を引き継いだ90年代生まれをいたわった。
天安門事件当時の学生民主化運動のリーダーで民主活動家の王丹氏は今月、「90年代生まれは中国の希望」と題する文章を発表した。中国共産党の今までの統治はマスコミを掌握し、真実の歴史を覆い隠し異論者の観点を捻じ曲げたことで実現されたが、90年代生まれはネットを熟知しているため、当局の情報封鎖も容易に突破できると分析。彼らは多くの隠された情報を知り、目を覚ましたと王氏は続けた。
北京師範大学のペンネーム「老芋頭」教授は、「民主と法治を基本とする政治改革を推し進めることは、民衆に道を与えているだけでなく、民族と国家、さらには自分たちに生き残る道を敷くことになると知るべきだ」とミニブログに書き込み、当局者に忠告している。
※同デモの他の写真や動画について、中国語版の記事をご参照ください。
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