【大紀元日本7月23日】浙江省にある民営企業は銀行からの融資返済督促が集中したため、資金調達危機に陥っている。省都の杭州市を中心とした600社の民営企業がこのほど、同省政府に対して連名で陳情書を提出し、政府からの緊急支援を要請した。これは2011年温州市で発生した高利貸し危機以降、浙江省民営企業が直面した2回目の資金調達危機となる。
17日付国内紙「21世紀経済報道」によると、連名で陳情書を提出した600社の企業は浙江省政府に対して、政府が銀行に▼一時的融資返済の督促を中止するように働き掛ける▼資金調達危機で経営困難になった企業にすでに返済した一部の資金を発給するよう指示する▼今後3年間に関連民営企業への融資枠を縮小しないように要請する▼今回発生した民営企業の融資危機に対して早急に対応策を講じるよう求めた。
国内経済失速で、銀行の不良債権が急増
浙江省民営企業の融資危機が発生した原因は主に二つあるとされる。一つ目は中国経済の失速と関係する。杭州市蕭山開発区にある民営企業に勤めている程平さんは大紀元の取材に対して「この前、温家宝首相が中国経済が危機に陥っていると発言したが、実際に民営企業の経営状況は非常に悪いのだ。借金を返済できなくなって行方をくらます経営者が多くいるし、また借金返済のため自家用の車を売ったりする経営者もいる。今中古車を買ういい時期だと言われている。また、上半期において杭州市の多くの中小企業の経営状況はすでに良くなかったが、今さらに深刻な状況になっている」と話した。
国内経済成長が鈍化し民営企業経営状況が悪化することで、銀行の不良債権が急増した。21世紀経済報道によると、1~5月まで浙江省の不良債権残高は672億8000万元で、今年初めと比べて約181億4000万元増加した。強い危機感を抱く銀行側は少しでも貸付金を回収できるよう、5月から民営企業に対して融資返済の督促を強めた。
もうひとつの原因は、銀行から融資を受けるために浙江省民営企業の間に「互保」と「聯保」との関係を結ぶことにある。「互保」とは、2つの企業が互いに担保することで、例えばA民営企業は銀行からの融資を受けるためにB企業に保証人になってもらう。A企業が融資を返済できなくなった時に、B企業が代わりに返済する。B企業が融資を受ける場合、逆にA企業に保証人となってもらう。
「聯保」とは3社あるいは3社以上の企業が担保グループとなること、そのグループにいるすべての企業は同グループ内のあらゆる企業に連帯責任を負うことになり、すなわちグループ内にいるある一つの企業が融資を返済できなくなった時に、他の企業が返済することになる。「互保」と「聯保」の形成について、程さんは「中国の金融機関や銀行が民営企業、特に中小民営企業を対象とする融資が厳しいからだ」とし、一つの民営企業に貸付を行うのはリスクがあるために、いくつかの民営企業を束ねてから貸付を行うようになったと、中国の銀行側に原因があることを指摘した。
しかしこの「互保」と「聯保」によって、一つの企業がいったん資金調達難に陥れば、他の関連企業にも悪影響を与える連鎖反応が生じ、結果的に融資危機を招いた。
報道によると、陳情書に署名した600社の企業には家具大手の嘉逸集団など杭州市トップクラスの企業が多数いる。嘉逸集団と互保関係にある建設企業の「天煜建設」の傘下企業が違法資金集め容疑に問われ、司法当局が同建設企業に対して口座の凍結や不動産資産の差し押さえを行い、嘉逸集団も中国建設銀行を含む8社の銀行から融資の中止または返済の督促を受けた。そのため、嘉逸集団だけではなく、関連する多くの企業の資金調達が非常に困難になった。
杭州市蕭山開発区政府の調査によると、嘉逸集団と互保関係にある大手企業が6社あり、その傘下企業を合わせると全部で30社以上となり、互保総額が4億1800万元に達しているという。中国人民銀行杭州支店の調査によると、浙江省の融資危機に陥っている企業のうち、60%の企業は他の企業の保証人として代わりに融資を返済した後に資金調達困難になった。さらに、浙江省銀行業監督管理局によると、現在浙江省すべての企業融資のうちの40%は企業互保融資であるという。
業界関係者は、融資危機に陥っている浙江省の企業が江蘇省など他の省の企業にも投資しているため、融資危機は他の省までに拡大する恐れがあると警告している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。